第221話・祖の祖
結婚に際し、
高天ヶ原の婚姻において、白無垢とは縁を受け入れやすい色を示す。男だから、女だからではなく、参列者にこれからどう呼べば良いのかを示しているのである。
よって夫婦別姓の場合、どちらも黒い衣服を纏うのだ。これまでどおりであると示すために。そんな法は一応あるが、使われたことがない。どちらも相手から名前をもらって足すといった感じで婚姻を結ぶ場合は、どちらも白の衣服である。こちらは、最近は希に使われる。神族同士の結びつきを強く印象付けることもできれば、愛しい相手から名前を貰うことができるのである。政略的理由と、心理的な理由を両立させるために始まった風習である。
「クルム! お似合いですね! 格好が良いです!」
みゃーこは
「ん! 次、みゃーこ!」
同じ神族同士での結婚もあることだ。その場合名前は結婚前後で全く変わらないため、服装は本人の希望に沿う。
「
古事記にあるように、神々の間では育ての母が育てた子に嫁ぐことは間々あることである。そんな時人間がやるように義母や義姉としていたら、家系図は混沌の渦に飲まれるだろう。そうならぬように基本的に関係性の変化も本人たちの望みに沿うのが慣例になっている。
「……ん。でも、これからもいっしょ……」
ただ、
対する、みゃーこは大きく変わった。背丈は
「それはもちろん。
順当であれば数千から数万年単位でそのままである。順当ではないクー子が早すぎたのだ。本来はもっとゆっくり神階が上がるものである。
「ん!」
そうであれば
婚姻があってもなんだかんだクー子の
「クルム。万年は浮気を許しませんよ! クー子様は
みゃーこは
「当然!」
なにせ、愛にまつわる全ての感情はクー子を起点にしている。
「ですよね……」
それはみゃーこにとって思ったとおりの回答だった。みゃーこも永劫と思っていた。だが
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
人の世では
「こらこら、あまり畏まるものではない。祖父や祖母のようなものと思って欲しい」
天皇と皇后の二人が、瓊瓊杵尊を最敬礼で出迎えるもので
「しかし、我々の祖神です。お会いできる機会があり、あまりに
何故だか、一国の象徴ともあろうものが、心の中が感謝の気持ちで溢れていた。
それは神の威光であり、魂がかつて
「
それに、こうして関わるうちに、皇室は神に戻る機会を得ていく。人類宣言前の、
「ただのおじいちゃんとおばあちゃんって思ってね!」
それに、ここで畏まっていては身が持たない。
一国の象徴である。そんなにヘコヘコさせられたものではない。それに、
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