第219話・謳歌
半分は鍋であり、半分は刺身などだ。祝いの席は、人が多い方が楽しいため、クー子は陽と
ドンと鎮座する鍋と刺身。
「クー子さん、これすっげぇ豪華じゃね?」
とは言うが、実はフグ自体は買ってもそんなには高くない。フグが高いのは捌くための技術料まで加算されるからだ。神でも免許を持っていない神の方が多いのである。
「ちょっとだけねー! 私が捌いたから!」
陽は考えるのをやめた。神だったら、有毒部位ですら毒を抜いて食べられるかと思ったし、見る限り内蔵は白子しかない。
陽は元平安人であり
「そう言えば、
「うん! 持ってるよ!」
基本的に
「それは、心の底から安心です」
だから、
そこへ、道真の収録が終わり訪れたみゃーこと
「おぉおおおお! フグ鍋にてっさ! クルムの入学祝いですか!?」
全員が揃ったことによって、クー子は鍋に火を入れながらみゃーこの疑問に答えた。
「そうだよ! クルムは初めてかなぁ?」
煮過ぎると、身が崩れてしまう。よって、この段階から煮始めるのだ。
「ん!」
「私は鍋が好きである。てっさは思いのほか、普通だ……」
「でも、ちゃんと熟成工程は術で進めておきましたよ! お刺身も美味しく食べられるはずです!」
フグは若干熟成向きの魚だ。やっておかなければ、ただポン酢を舐める口実である。やっておけば、フグ自身の香りも楽しめるのだ。
「そうなのか!?」
「楽しみ!」
「ので! 食べましょう!」
クー子が言うと、全員着席した。
音頭はやはりクー子。パンと手を合わせ、柏手を鳴らし、邪気を払う。
「いただきます!」
この音は
「「「いただきます」」」
仏教は静かで慎ましやか。だが、
「お鍋まだ火が通ってないので、唐揚げとかお刺身から食べてください」
蛍丸はフグがみがきとなってからは、全工程に手を貸している。よって、多少鍋奉行にも手を貸した。
「ん!」
「んうー! 美味しゅうございます! フグ自身も香りがあって、これはこれは!」
みゃーこは咀嚼し、幸せの表情を浮かべた。
「うまい! これほどに変わるのか!?」
術でショートカットされたといえ、それはしっかりと熟成されたフグ。
「うめぇけど……同席してる神々がやべぇ……」
陽は独り言を。
「神々と食卓を囲う。毎日がお祭ですね!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
やがて鍋が煮え、蛍丸からも鍋のフグの許可が出た。
「ホロホロと解けてしまいますぅ!」
みゃーこは噛みしめるたび幸せの表情。
「美味しい!」
喜ぶ声ばかりがやかましく、賑やかな食事の風景。これぞ、和魂たちの宴である。
やかましいものなのだ。食器が立てる音を抑えるのは、その喜びの声を際立たせるためである。生にまつわるすべてを精霊化し、信仰し、噛みしめる。これぞ
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