第215話・ラブコ女神
放送後、
和魂の神の魂はどこか純粋なのだ。幼い子に“何年後も気持ちが変わらぬのなら、きっと結婚しよう。”と誓ったのであれば、神の時間は無限に近いのだ。守るのが当然である。守れなかった自分を罰し、神通力を衰えさせてしまう。よって、神階にふさわしい実力を失い、降格になるのだ。この降格は体罰と同じ、それ以上の反省と自罰は必要なしと告げるもの。そんな事を、
何も変わらない、放送前のままのクー子。それを見て、本当に操を守っているのだとわかってしまうものである。
「クー子!」
こみ上げる愛しさに任せて抱きついて、頬を擦り付ける。この手の幼い約束は、人の有限の時間であれば、守るのは難しい。
クー子は特に誠実というわけでもなければ、普通の主神級の和魂である。
「ふふっ、クルムくすぐったいよ……」
そう言いながらもクー子は
本能とは蓄積されたライフハックだ。種を存続させ、生きる知恵だ。生物の遺伝子に刻み込まれた神話なのだ。
「ラブラブだねぇ……」
その姿は
母のような、神からコマへの感情が邪魔をして、混ざり始める別の感情を覆い隠している。そう、良い意味で二人は他人なのだ。血縁は無い、それでいて
「ん! クー子は……私の……です!」
「ふふふ……可愛い!」
クー子は
「むぅー! 絶対……結婚!」
会えない時間が愛を育むというやつが、そろそろ必要なのだ。だが、
「みなかっつぁん……本気だ……」
そう、
見えるだけで、完全には操りきれていないし、そのつもりもない。なにせ、世界中のありとあらゆるところで因果は動いている。その総数は途方もなくて、まるで偶然のように思える程だ。
だが、
「六年後も好きでいてくれるなら、結婚ねー!」
決めたのだ。クー子は約束を違えない。
これで天御中主は、六年後に
だが、
「ん!」
「クー子ちゃん、それ絶対結婚だけど……?」
「絶対じゃないですよー! これから学校も始まりますし、石売くんとかいい子も居たし……」
考えて、クー子は寂しくなった。自分の手を離れるのが、なんとも辛いことか。親であれど、片思いであれど、それは同じ思いをするのだ。
「あーもう! じれったい! じれったいのにたまらない!」
そして、
「絶対射止めてにゃーん?」
「ん!」
一瞬は警戒した
吹き込まれて、
「
クー子は憤る。
「いい!」
だけど、
「ごめーん! クルムちゃん許してくれて、ありがと!」
欲望が先行して、確かに一瞬物のように扱ってしまった。それを
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