第188話・やんごとなし
着替えを終えたクー子は左側に
十二単は全ての女神が持っているものであり、盛装の際に用いられる衣装である。
簪も三つを髪に刺している。花簪が二本、桜と小さな白い苺の花。それから赤い玉簪である。稲荷は簪で花と収穫物を表現する。赤い玉簪は実った苺を意味しているのだ。
「
公式な場での神の発言は基本的に古い言葉が使われる。パッっと言おうと思うと、クー子も現代語が混じってしまう。そこで
要するに、カンペである。そのカンペがあればこそ、クー子はスラスラということができた。この緊張せざるを得ない楽殿の上で……。
緊張は仕方がない。
「「「宴だあああああああああ!」」」
ただ、宴会とあっては大和神族はうぇーい系ならぬワッショイ系である。神によっては、酒を掲げる神も居る。それが、
この場にある酒は全てお神酒である。なにせ、その殆どは
「うぉ!? あの、これお土産にいただけませんか!?」
「ぜひ、私にも!」
「私もお願いします!」
その酒を目撃した、霊能人間組はもうビビッと来た。結界に使ってよし、飲んでよしである。
「ええでええで、何樽持ってく?」
しかし相手はえべっさんこと
「樽!?」
単位に陽は驚いてしまった。
そんなこんな、宴を楽しむみんなの中にクー子は降りていく。
「もう、
と、クー子が注意したところ、
「全くです!」
そう、天神様である。
「
と、陽は酒を土産として持たせてくれると言ったきの良さそうな中年男性の顔を見た。
「わい、
「
クー子は言っておいたほうが良かったのだ。ここにいるのは、誰も彼も有名神であると。
「兄貴! 酒くれ!」
そんなところに、
「兄貴って!?
「おう、人の! 清々しくやってろよ! んで、クー子! 似合うじゃねぇか! 清々しいったらありゃしねぇな!」
「スー君! 声おっきすぎ! クー子ちゃんおめでとうございます! これからは、
ついでに、
「
クー子もこの二柱を尊敬している。だから、満面の笑みになった。
「クー子ちゃん! お祝いぎょうさん置いて帰るでな! 今後もおおきに!」
「
「したら、増築しちゃるで!」
これだから
「ここ……やばいんじゃ……」
「おうおうおう、無礼講だぜ! 忘れんなよ、人の! 気にしすぎると、清々しさが消えちまう!」
「スー君はもうちょっと気にしなさい!」
「ひええ……」
日本(権威的な意味で)トップコンビである。陽はもはや、何がなんだかであった。
「クー子ちゃん! 稲荷のところにいっていいよ! 絶対待ってるから、待たせちゃめっです!」
ついでに、
「はい、じゃあ行ってきます! 陽ちゃん、神凪ちゃん、
クー子は言い残して稲荷の居る所へと向かった。
ただし、霊能人間組、楽しむどころの騒ぎではない。高貴な神々に囲まれててんやわんやである。
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