第186話・学力
「さて、クルム様。
それを心に秘めて、至って温和な笑顔で、人の世から漢字のドリルを取り寄せてきたのだ。
「ん!」
「クルム様、あなたのお名前はとても難しい字です。でも、そこから始めてみますか?」
細石彦はこれに肯定の答えを期待していた。自らの名前に対する関心もまた、親との愛情を示すものである。この場合はクー子と
「ん? 書ける!」
だが、それは予想を超えた角度からの否定だった。誰かが字を書くのを見て、
「そ、そうなのですか!? では、この
「ん!」
「うわ、字も綺麗……」
「練習……した!」
自分の名前の字など、言わなくても練習する。親に対する愛が深ければ深いほど。
「アハハ……クルム様は博学でいらっしゃいますね! さすがは、神の
冷や汗を流した
ただ、
「ん!」
それから、
問題を次々と解いて、
そもそも、その博学博識を褒め言葉として解釈できるのだ。学力が高くて当然である。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
百点満点の漢字ドリルのテスト。それを一冊分貯めて、
「すごいすごい! お祝いしなきゃ! 何にしよう!」
クー子は、
「いや、全くです! クルム様には驚かされましたよ。馬鹿にされることの無いようにと教えるつもりだったのですが、仕事がございません」
「あ、無学が馬鹿にされると思った?
ついでに
故に軽蔑無き理想郷。神の世界はそんなものだ。
「いらぬ心配でしたか……。それより、彼女にお祝いですね。人の世から何かを買ってまいりましょう!」
「油揚げ!!」
「もう! もう!」
そんな理由はクー子にすぐに察せられ、従って
こみ上げた愛しさに任せてクー子は
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