第181話・一本鳥居
日常は繰り返しだ。それが愛しいもので構成された状態が、幸福である。繰り返すことを
かつての
そう、ちょっとしたイレギュラーがあっても。
「「「
唐突に
そう、彼らは元黄金の夜明け団アレイスター派。彼らのオカルティズムは数奇な道を辿って、神秘に至った。ジーゾ教を数ヶ月名乗って、今は高天ヶ原教である。教祖は神々であり、どうあがいても永遠にカルト宗教だ。
カルト宗教とは、教祖やその直系の弟子が存命している宗教を言う。
「クー子おぉぉぉぉぉ!」
ただ、知らぬ
さもありなん、ローブを着て神社参拝は怪しすぎるのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あははぁ……ビックリしちゃったね! 大丈夫、ちょっと変な人だけど、地蔵さんの弟子たちだから!」
変な人を見てびっくりしてしまった
「ほんと?」
「うん! 私の人嫌いが治ったきっかけの一部だよ!」
無数のきっかけに恵まれて、今のクー子がある。社会とは相互関係の集合体であり、社会の中で生きる存在は数え切れない程に多い。クー子だってそうなのである。
「いい人……?」
クー子と
「すっごい! 鳥居かっこいい!」
そんなもので、クー子の目は最初に鳥居に言ってしまった。
「ご満足いただけましたか? こちらが大鳥居! きっと参道には、無数の鳥居が並ぶでしょう!」
千本鳥居は後からできるのである。作るのは多くの場合人間だ。その大鳥居にご満悦のクー子を見て、
「クー子様!! 我々にどうぞ、千本鳥居の一本目の栄誉を!! どうか!」
魔術師たちはそのために来たのである。極めてシュールだ。稲荷に鳥居を献上する魔術師は、史上初である。
「えっと……まっちゃん!?」
代表の男であるから、一番位が高いはず。ならばとクー子は記憶から、その名前を引っ張り出した。視聴者として視聴者としてコメントしてくれたおかげで、知ることができたものである。
「おぉ……我が名を! 光栄にございます!!!!」
いちいち感激に
「変な人……」
だから
ついでに、確かに悪い人ではなさそうとも思った。元悪い人ではあるのだが……。
「なんともお可愛らしい方。私マイクと申します。クー子様にお救いいただいた、神秘の探求者でございます」
悪くなくなったのは、クー子に術をかけたのがきっかけである。
「ん!
「ふむふむ、コマ狐様ですね! さて、あなたの神様に私は鳥居を献上して差し上げたいのです。願い事は……そうですね、これからもよろしくお願いします、といった感じで!」
全然お願いではなかったのである。このまっちゃんテンプリことマイクも、地蔵やイエス・キリストから神のことをしっかりと学んでいる。今となっては、その気になれば神主もできるほどだ。
「クー子さん。彼ら、頑張って鳥居を作ったのです。もらってあげてくださいませんか?」
地蔵はいつものアルカイックスマイルだ。地蔵は魔術師たちが懸命に鳥居を作る姿を見ていた。まず木材は杉とブナからできている。これが太陽と土をあらわすのだ、併せて豊穣を意味するように。西洋の術式ではあるが、しっかりと稲荷が表現されていたのである。
「うん! 喜んで、いただきます!」
クー子がもらう初めての鳥居、それが魔術師からというのは少しおかしくて、おかしいのがまた自分らしいと思った。
それから、術師たちは魔法陣を書いて、呪文を唱えた。仏教の影響もかなり受けている召喚術式で、それが終わると、鳥居がにょきと生えたのである。
―――――――
予約投稿すっかり忘れておりました。申し訳ございません!
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