第180話・愛しき日々
食事ができると、みんな
いただきますで始まり、ごちそうさまで終わる。そんな、ごく当たり前の大和民族的な食事風景である。
「相変わらず、ほたるんの料理は美味しいです! というか、またお上手になりました!?」
笑顔の絶えない食事風景である。みゃーこの言うとおり、薬膳であるはずが食べるそばからするするとのどを通ってしまい、いくらでも食べられそうな気分にすらなる料理だった。
「事変後、クー子様のそばにずっといることができませんでしたからね。暇を持て余して、
蛍丸は一級神器である。
「うむ……りっぱだ! あっぱれ!
しかし、蛍丸も興が乗りすぎである。
「葵たん! あーん!」
「はい……」
葵は大変だ。自分が務めている神社の守護神が、食事を手づから食べさせてくるのである。
「葵サン!? いつも、食べさせてもらってる!?」
食べさせてもらうことに抵抗を示さない葵を見て、いつものことであるのは察した。だが、それがいつものことなのが陽にとっても驚きなのだ。
「これはあれであるな! 神と知り合えた巫女は、まかない付きだな!」
と愉快そうに
「いいなぁ……お料理上手いいなぁ……」
「うーたんのご飯も好きですよ! うーたんと一緒なだけで満足です!」
バカップル
それはそれで、
「もう! さるたんってば!」
だから、
「
「クー子……」
そんなバカップルに触発されたか、それとも
「ふふふっ、甘えんぼさん! はい、あーん」
そのクー子から、子供のようにあしらわれた、
だから、とても複雑な表情になってしまったのである。
「うむ……やはり正室は、クー子がよいか……」
「ぶふっ!」
真っ先に吹き出したのは、陽だった。
「し、失礼しました!」
ただ、神々の食卓でそんな無作法をしてしまったことにさらに慌てた。
「
クー子は少し怒った口調で言う。もういまさらなのだ。かしこまっても仕方ないほどに、色々手助けをしてもらったあとである。そもそも、
「あ、すまん、みゃーこありがとう」
吹き出してむせた陽は、みゃーこから軽い介抱を受けていた。
「いえいえ!」
全方位礼儀正しく親切なみゃーこ。愛される要素は十分である。
「陽や、すまんな。ただ、
やはりそれが厄介なのだ。事あるごとに、ロリ×おねが推進される。否、推進せねばいけない立場があるのである。
「多分……理解……足りない」
「もしも、理解が及び、なおも結婚を望むのであれば、この
お見合いとしても良い、政治的な手法で外堀を埋めることもいくらでもできる。まるで伏線のような言い方であった。
「ん!」
もう手に入れているのに、それが当たり前すぎて気づいていないという側面もあった。
「まぁ、クルムが本当にそうしたくなっちゃったら、断れないんだけどねぇ……」
政略結婚をクー子に強制できる権力は
「んー……」
それはそれで、何か違うのだと
やはり、
「ふむ……」
それはそれとして、まだまだ企む
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