第128話・皇祖
「そういえばさ、本題なんだけど……。クー子さん、今日やけにあったかい理由知ってる?」
「あー、えっとね。
クー子の言葉を聞いて、
日本神話で太陽の神といえば、最高神……。
「
それ以外、日本人には伝わっていない。
「あ、えっとどっちかというと、ラー様かな?」
クー子は答えた。
「唐突にエジプト神話!?」
もちろん
だが、しかしである。太陽など世界のどこからでも拝むことが出来る天体だ。
「アハハ……エジプト神話のラー様って、当代の
そんな話をしながらクー子と
犬も歩けば……それに似て、
「私の話?」
ぬっと現れた、
「うわ!? これは、掛けまくも畏き
咄嗟に
「かしこまらないで欲しいわ……。あと、正式に呼びかけるなら
歌うように、愉快そうに
「掛けまくも畏きながら、
それはもう、平安仕込みの綺麗な土下座だった。なにせ、太陽神の名前を間違えてしまったのだ。
「そこまでしないで欲しいわ……大和民族と神の仲じゃない!」
もはや、これは定番だった。人間と直接話した神は大概口にしている。
「私なんて、コマを見ててもらっちゃいましたしね!」
前回はクー子にはわからなかったことである。
「本当はずっとここにいて、クー子ちゃんのコマちゃんたちと遊びたいんだけどね。ごめんね、あんまり留まると、夏が来ちゃう……」
とはいえ、
「畏み申す……」
これでも陽は砕けた。前置きを少し省いたのである。
「普通の敬語にしてくれないと、神罰落としちゃうゾ!」
気軽に、とてつもなく恐ろしい言葉が
「お許し下さい! 大和民族にとって、太陽神はとても尊いものなのです! 礼を失するなんて…‥」
「一番偉いのは、
それでも少し寂しい
「申し訳ございません。これ以上は、あまりに畏れ多く……」
なにせ、人の世の最高権威である天皇のルーツの関係者である。
そんな時である、権威を恐れぬ幼子がそこに舞い込んだ。
「めぐ様! あ、クー子! みゃーこ……剣……変……」
「どうしたのー?」
と、クー子は受け止めながら訊ねる。問題は、
「来てくれなかった……」
若干涙目になっていたのだ。
それを見て
正して再び見てみれば、これほど微笑ましいこともなかった。権威を纏ってなおも、子供に寛容。それどころか子煩悩である。このルーツあって、天皇ありと思ったのだ。
「
などと、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
みゃーこのところへ行くと、みゃーこによく似た狐が一匹。それは、みゃーこの腕に頬ずりをしていた。
「わふ! わふ!」
稲荷の神通力ばかりを吸収して付喪神になったことによって、狐の姿になってしまったようである。
「うわ、瓜二つ!」
見まごう事はおそらくない。だが、本当に外見は瓜二つである。違うのは、大きさだ。みゃーこより少し小さいのである。
「クー子様! どうしましょう!?」
みゃーこは困っていた。自分に似ているとは言え、甘えてくる姿が可愛らしく、動けずにいる。
「困ってた? じゃあ、こう!」
ころんと、その狐を返し、みゃーこの膝の中に収めたのである。
「みゃーこ様の幼い頃はこうだったのでしょうか?」
関係が深くなり、いろいろと興味が出てきた蛍丸は、そうなのかと妄想を膨らませる。
「もうちょっと顔立ちが幼かったかなぁ……」
それは、ただ小さいだけなのだ。クー子に言わせてみれば少し違いがあった。
「見たい……」
「私もー!」
「えっとね……ほら!」
クー子は空中にパネルを出して、みゃーこの幼い頃の姿を映し出す。
「おやめください!」
みゃーこはそれが恥ずかしくてたまらない。
「みゃーこ……諦めろ。クー子さんは、実質オカンだから……」
うちの子が一番可愛い……とは、誰に対してもアピールしたくなるものである。これは、父母共通で、むしろ父親の方がひどい場合が多い。
ただ、それは子煩悩である証左で有り、少なくとも愛情を向けているつもりがある証拠だ。
それからしばらく、みゃーこが子の剣に掛かりっきりになっているのをいいことに、鑑賞会をしたのである。
そして、途中からは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます