第122話・アルベド
「
「いや本当です……稲荷最強ですからね」
荒御魂の神通力は肉体を破壊する。そんな神通力を吸収するのだ。やがて苦痛に耐えられなくなり、術を解かざるを得なくなる。
「あれが……」
クー子は使ったことがなかったのである。術式自体は知っていた、正三位以上の神はこれらの術を知る知る必要がある。それは、荒御魂と戦うためである。
これら、邪神として描かれる力を総じて、
「何……あれ……」
おぞましかった、
「クー子様もあのようになってしまうのですか!?」
みゃーこは怖かった。外見からして、リスクがあるように感じられた。耐えられたのは
「
みゃーこの言葉で
恐ろしくなって、
「
そういえばと、
「うん……。私、使ったことすらないし」
クー子のそれは当然だった。使われるのは、主に一級事変以上の大事である。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……というわけで、和魂相手だと全く危険もなく使える力です! 使う機会はないんだけどね!」
「なんだい!?
力は恐ろしい姿をしていればしているほど、リスクが大きいものが多い。中でも、自らの姿を恐ろしいものに変貌させるのは、単純な変化ですら僅かにリスクがある。
「
「大丈夫さ! ちょっとばかり疲れたけどね……」
ただ、やはり腐っても
「ところで、付喪神にはないのでしょうか?
蛍丸は訊ねた。様々な神族の
「あぁ、付喪神だけは別なんだよ。
そんな
「それは……」
蛍丸はその、大きすぎる力に驚愕する。
「目指しちゃう?」
もし、それが再度
クー子は神々の夢に憧憬を禁じ得なかった。
「い、いえ! そんな、あまりに……」
流石にそこまで行けることはないだろうと、蛍丸は固辞する。
「いんや、全然ありえる話だよ! それよりクー子、そこで伸びてる
目下の問題はそれである。体に戻れば、力も大部分が戻るはず。今の状況は割と過酷であるはずなのだ。だから、
「んー」
クー子は考え始めた。
「流石に無理があるかと……」
「あ、行けるかもです!」
なんて、クー子が思いつくもので
「行けちゃうんですか!?」
「うん、えっと……念のため、結界お願いします!」
と、周囲に声をかけた。即興のカスタマイズ
「はいよ!」
クー子の結界は少ない材料でどうにかこうにか強度を出そうとする工夫の産物。対して
「
錬金術の術式を用いて、反転効果を無理やり付与する。
クー子の神通力が周囲にあふれて草木が生い茂った。尻尾は無数の白い触手へと変貌し、無差別に息吹を与える。
「うそぉ!!??」
そしてクー子はその触手で、肉体に魂を入れ直したあと直ぐにうずくまってしまったのである。
「はぁ……はぁ……これ、要改良だなぁ……」
神通力の消費が凄まじかったのである。まるで、息を止めたまま全力疾走をしたようだった。
「悪かったね、相当疲れる術を使わせたみたいだね……」
「いえ、いろいろ弄りまわせそうです……」
クー子の新しい研究テーマが幕を開けた。
「クーちゃん……」
そんなクー子を
その後いろいろあって、ようやくクー子は家路に着く。帰って、泥のように眠ったのである。
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