第121話・暴走織姫
放送後、
「クー子様、またお会いしましょうね!」
神々にとっては短いスパンで、クー子と
「是非とも行かないでください!!
でも、狛達にとっては、それは長い期間である。
といっても、みゃーこと
「さび……しいッ!」
さめざめと泣く
彼女にとっての時が
「クルム、春になったら貴方は学校に通うんだよ。帰りはここに寄るから、毎日会えるね!」
クー子はそう言ってどうにかなだめようとした。それにしても仲良くなって良かったと、心の中でつぶやきながら。
「クー子様、この
とみゃーこは便乗して。
「あぁ、いつでも来るといいさ!
そんな時のことであった、スパァンという軽快な音を立てて襖が開かれたのは。
その襖の向こうには、体が半透明な
「おいおい、無理して入ってくるから体を外に忘れてきちまってるじゃないか!」
クー子たちを社に送るつもりでいた
招かれなくても正一位の神なら、なんとか入ることができる。ただしその場合、魂というか意思だけの存在として入ることになる。この状態ではメッセージを伝える程度のことしかできないのである。普通であれば……。
「そんなことは構わないのでございます! それより、JK退魔師がいると耳にしたのでございますよ! あまつさえ私の神器を着ているのだと!!」
クー子達が着ている一級品の服。その製作者こそ彼女である。普段は非常に慎ましやかで、大和撫子ここにありといった人物なのだが、趣味に走ると別人である。
「
「ほれ、そこに蛍丸がおるだろ? セーラー服はその子のものさ!」
「私でございますか!?」
とばっちりを受けた蛍丸は、びっくりして
「ん? んんんん!!??」
そして、次に
「絶対に違うのでございます! いえ、彼女もとても萌え……可愛らしいのでございますが、彼女が着てもそれは作られた可愛らしさ! 本物のJK退魔師の持つ、そこでツボを外してきたか!? という意外性が、どこにもないのでございます! いえ、とても可愛らしいですよ。お持ち帰り不可避なのは確実でございます!」
「待って!」
クー子は止めようとした。
だが、
「貴方には和装の方が似合うに決まっているのです! さぁ我が家で、いろいろと着て見せてくださいまし! 振袖が絶対に似合うのでございますよ! 鞠も持ってもらいましょうか! あぁ、構想がどんどん浮かび上がります! 正一位の服はもう、つくり飽きたのでございますよ!」
大人系美人など、
ローマ方面への神族派遣が多かった時期は、古代の洋服をたくさん作った。だが、天棚機姫もそろそろ萌えを意識した服作りがしたい。主に改造浴衣やゴスロリが作りたいのだ。
「待て待て待て、織姫! なんで、あんただけ触れるんだい!?」
本来思念体、物理的干渉はできないはずである。
「情熱でございます! 情熱があれば、魂のみによる物質干渉ができるのでございますよ!」
神々にとっても、
「ほたるん……返して……」
情にすっかり熱くなった
「ん? この子もとても……。お持ち帰り確定でぇ……ございますよ!」
「返してください! 私のコマなんです!」
と、クー子は必死になんとかしようとした。
「
と、
「
解放されたのは、稲荷の力が最大限発揮される姿。周囲にある全ては、力の全てを
ほんの一瞬の開放だったのに、畳は朽ち果てて土となり、土は不毛の砂へと変じたのである。
「あ……ぐふ……」
その力をもろに受けた
腐っても主神。魂だけの状態であれど、ほんの一瞬だけ耐えることができてしまったのである。
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