第116話・予定調和
程なくして、主神たちは帰ってきた。
そして、即座に
「本当にすまねぇ! 俺が連れて行ったんだ! 次から、
起きている時に出て行くのは、
そのことを
「本当に悪かったね。もう二度としない。どうか、許しておくれ」
「ごめんなさい、
正一位の神々であっても、間違えれば謝る。それは、高天ヶ原の常識である。
「悪いことしちまった。でもどうか、クー子だけでいい。許してやっておくれ!」
と
そこに、人間組はいなかった。彼らは消耗していた。存分に緊張し、神通力も使い果たしていた。そこで、急遽最寄りの神社から家に送ってここに来たのである。
「え……?」
だが、悪いことをしたら謝る。それは調和を信念とする
「改めて、クルム、本当にごめんね! もう二度とおいていかない! 行くとしても、絶対に行ってきますって言ってから行く!」
そう、どうしようもないときは起こしてでも。そのほうが良いのだと、聞いたのだ。
みゃーこと
蛍丸はもう安心だと、静観を決め込んでいる。
「一緒に、遊んで、ください……!」
そもそも、怒っていなかったのである。不安だったという事すら理解していなかったのだ。
「やりましたぞ! みのりん!」
「ですね! みゃーこ!」
とコマ組は後ろでハイタッチをしていた。
「おぉ! なんでもやってやる! いくらでもわがままを言ってくれ!」
と、機嫌が良くなり始めた
「あ、そうだ!
クー子は例大祭の思い出を語るが、そんなことを言っては
「ふはは! 俺の歌は清々しいもんだろ!?」
と笑うから、神々はいつもの
「ん! 悪魔の歌……好き……です!」
などと
「うはははは! 気に入った! 清々しい奴だ! ひ孫も同然!」
もう、口癖の頻度がどんどん上がる。それは、しつこいほどに。
「こりゃ大変だ! 父様はもう何言ってるか分かんなくなるよ!」
そう言って、最も彼をよく知る
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お祭り騒ぎが始まった。
奇しくも予定通り。戦いの後は祭り、
「さぁ笑おうぜ! 霜が立つ冬だろうと、長い夜だろうと、必ずきやがるお天道様! 何時だって、笑ってやがるぜ!」
ロックンロールなリズムに合わせて、朝を喜び太陽を賛美する歌。本当は、
それでも、そんなことを感じさせないほど、楽しげに歌っている。
「悪魔! すごい!」
キャッキャとまるで本当の幼子のように喜ぶ
「和やかな歌詞なのですね……」
蛍丸は、それをしっかりと聞くのは初めてだった。
「うん!
クー子が言った。
今や
「アタシが小さかった頃は、まだまだ荒ぶってたけどね!」
今や、そんな姿を知るのは正一位の古い神々だけ。そんな大昔を、
「あの頃は、僕も荒ぶっていましたし……」
「え!? そんな……」
一番驚いたのは花である。今の
「あったんだよ……。昔は、みんな幼かったから。よく、
と、
「すまないね、話の腰折るよ!」
「ん?」
「わかってるかい? あんたの額には傷がある。まるで引き裂かれたような傷さ」
「うん……」
痛みは無視して遊んでいた。だから、みゃーこと
「いいかい? そりゃ、
現代、
「幻術! 練習!」
そう、ずっとかけていればとても上達するのではないかと思ったのであった。
「そっか! じゃあ、存分に練習しようじゃないか!」
「クルム偉い!」
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