第109話・地蔵
クー子はコマ達を背中に乗せて高天ヶ原を歩く。大きな体を持つクー子の本性だからとっても楽である。目指すは、
そんなところ、見かけたのは
「あれ!?
なにせ彼は、普段はずっと根の国で、なんとか荒御魂たちを和魂に戻そうとしていいるのだ。
なにせ、仏だ。
「これは、クー子様。お久しぶりでございますね! おや、学校帰りですか?」
愛されて育てられている。それだけで嬉しくなってしまうような、優しい神である。
「そうなんです! 笑いすぎて、寝ちゃいました! ところで、地蔵さんはどうして
クー子は眠ってしまったコマ達はコマ達で可愛くて仕方がない。よって、背中の上で安らかに眠れるようにと気を使って歩いていた。
「それがですね、これから
彼はいつか根の国を空にする。だから、現世においては子供を救済する力を貸し与えよと、仏に祈ったのだ。
それを、痛く気に入ったのが
ただ、仏ではなかったので、地蔵は少し驚いてしまってはいたが。
「もしかして、黄金の夜明けのアレイスター派のことですか?」
今一番荒御魂になりかねないのは、その集団である。
「はい、その拠点が見つかったということなのです。どうか、荒ぶる心を押さえ、
地蔵はいつも根の国にいて、説得を試みている。根の国と一口に言っても、浅いところから深いところまであるのだ。
根の国第一席、
地蔵は、そんな不確かな可能性にすがるより、人であるうちに和魂の道に戻って欲しい。そして叶うなら、この
「そうなんですね……。あの、私もそれに参加できませんか?」
その一言には、クー子の決意が込められていた。
「クー子様。あなたにお伝えしなかったのは、相手が純然たる人間だからですよ」
地蔵はクー子の目を見つめる。
「それでも、アレイスター本人に繋がる可能性がありますよね!? 私はどうしても守りたいんです。
クー子の目には、確かな決意の光が宿っていた。
「伝え聞くあなたとだいぶ違う。きっと良き
地蔵はその決意を受け取った。尊い神が、さらに前へと進もうとする。その歩みを誰が止められようかと、思ったのだ。
「ぜひお願いします!」
と、クー子は頭を下げた。
「では、お行きください。金剛夜叉様は、この地蔵が必ずや説き伏せます。その必要も無いでしょうが……」
地蔵は、クー子の決意が
それは、
「ありがとうございます! じゃあ、私は行きますね!」
そう言って、クー子は
当然、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
地蔵は
最初は平伏して接していた相手だが、今となっては地蔵の基準でかなり馴れ馴れしく接することができる相手だ。
「
こんな口調で馴れ馴れしいつもりの地蔵。人間上がりの仏は、礼儀正しすぎると思う
「何!? 清々しい決断だ! 参加させよう、是非とも参加させよう! そして、褒美をしこたまやろう!」
「では、その旨、
と、地蔵が言うと、
「俺が伝えに行く! あの清々しい神に、たらふく褒美を取らせないと気がすまん!」
こっちの方面にはいくらでも荒ぶるのが、今の
ただただ英雄で、ガサツだけど優しい。そんな、神として道を完全に踏破したのだ。
「
地蔵はそう思ったのである。
今回はただ、まだまだ人間である相手だ。だから戦力不足はない。だが、その先にありえる大戦には、クー子は是非とも欲しい。準主神級の戦力。それは、強力である。
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