第105話・天神様の学校じゃ……
それから、昼食が始まった。
食卓には
「何やらかぐわしいと思っておりましたが、これはこれは……。早速、味わいたいほどです」
神々としては、家主が最初にいうのが常識なのである。
「じゃあ、早速! いただきます!」
長話は号令の後、食べながら話せばいいことである。クー子は前回の教訓を早速活かした。
「「「いただきます!」」」
大勢でそう言って、賑やかに食事が始まる。
「甘く、わずかにぴりっと来る……。クセになりますね!」
彼は
「辛いのは、
と、蛍丸は
「蛍丸さんがお作りになられたのですね! 教え子の料理が食べられるのは幸せですよ」
蛍丸は、
「止まりません! 無限に食べてしまいそうです!」
みゃーこは
少しだけピリリとするがそれがまた絶妙であった。基本的に辛いものは苦手の稲荷神族であるが、こうもほんのりとであると気にならない。
「うまうま……」
「香りは
「流石
「すごいですね! しかし、これだけのスパイスをどこで?」
クー子は尋ねるも、その答えは簡単だった。
「インドの方々がたくさん供えて下さるのですよ」
それはもう、
「
蛍丸は
だから、なんでもかんでも薬の側面を持たせることでどうにかこうにかできることを増やしている。
「お恥ずかしながらその通りで……。お薬以外は作れないのですよ……」
ついでに、
「不思議な話です……。っと、すみません。こちらの話をしても?」
「聞いて欲しい……」
と、
「うん! えーっと……」
クー子は視線を
「私の話は、単なる世間話。聞きたいと思って下さるなら、また次の機会に」
と言って、
仏はかなり
「では……。クー子様、明日は授業参観です。紛れてこっそり、
「クルムが行きたいなら、もちろん連れて行くよ!」
どちらかといえば乗り気のクー子である。
高天ヶ原の学び舎は、授業参観がかなり頻繁だ。女神が子煩悩すぎて、増やさざるを得なかったのである。
「行く!」
と、
「実はこの
みゃーこは学び舎に憧れがあった。
「もちろん、ご一緒にと、喜んで迎え入れました」
「ほたるんは……」
一人で残しておくのはいかがかと。とはいえ、四人で……というのは流石に気が引けた。
「お忘れですか? 私は、刀として背に侍ることができるのです! 懐かしの母校、人の姿のままでは涙を流してしまうかもしれません……」
蛍丸は卒業生。
一級神器の付喪神たちは、大抵そうだ。
「それでいいの?」
と訊ねるクー子。
「泣き顔は恥ずかしいですから……」
蛍丸は言った。
実際蛍丸が警戒しているのは思い出し笑いである。死ぬほど笑わされながら、教養を叩き込まれるのがその学校である。
行きはよいよい、帰りは怖い……とは笑わされすぎて体力を搾り取られた神々の愚痴である。
「たくさんおもてなし致しますよ!」
と乗り気の天神こと
「お気をつけください……」
いつだって、神のおもてなしは度が過ぎる。蛍丸は警戒を呼びかけたのである……。
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