第98話・お稲荷大集合
そもそも
「あの……あの……」
「なんだい? はるるん」
道中
「あ、いえ……あの……」
なおも恐縮しすぎて言葉が出ない
「
横に並んでいるだけでいじめである。貴人の悲哀がそこにあった。
「たぁーっはっは! すまないねぇはるるん。人と神が入り混じる祭りができるなんて、アタシは嬉しくて……」
神々は待っている、人間たちが
理解されないのであれば、あっちでもこっちでも願をかけられすぎて、それこそ本当に何もできなくなってしまうのだ。
全知に近づけば近づくほど、行動というのは制限される。なまじすべてが見えてしまうため、与える救いが誰かへの神罰になってしまうことを理解してしまうのだ。
「そそそそ、そんな……」
そんな名のある神に謝られて、陰陽師はたまったものではない。
「はるるんなくなっちゃいます!」
そこに、クー子が迎えにやって来る。
「二人共お帰り! それと、
「クー子、あんたすごいじゃないか! 自分で油揚げ調達なんて、アタシもびっくりした!」
と、
「あ、はい……。あの、はるるん? すねこすりみたいになってるけど……」
そう思ってしまうほど、
「えっうっ……」
言葉に詰まる陽の代わりに、
「はるるんが、
「アタシなんだから、親しんでくれた方が嬉しいんだけどねぇ……」
と、
「はるるん、
安心させるために、クー子は
「ほーれほれ!」
抱きつかれた
「うは、あはははは!
くすぐったさの極めつけは、
「と、このように……、親しみをモテる神様です」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ようやく、宴が始まった。そして、買い物用のビニール袋から出るわ出るわ無限に油揚げである。
「待って! 待って! どれだけ出るの!?」
まさかビニール袋の中身がが全部とは思っていなかった。
「あ、クー子様。驚くなかれです、これで半分もお金使えませんでした……」
今回
クー子は知らなかったのだ。現代の油揚げの安さを。百円で二枚、まとめて買えばもっと安くなる。
「こりゃ……圧巻だ……」
「掛けまくも畏きと思えども、
流石は陰陽師というべきか、陽は
「いやぁ、人の子すごい! で、はるるん。もうちょい、親しんでおくれよ! ほら、
そう呼ばせるのであれば、先に
考えるだけで、実行は望み薄だが……。
「これが、油揚げなのでございますか!!??」
「そうですぞ! これほどの量は満野狐も始めて見ますが!」
「山盛り……」
コマ三人組も圧倒されていた。特に
「はるるん、こっちおいでよ! ほれ、親睦を深めようじゃないか!」
「畏れ多く……ご容赦を……ッ!」
「あぁ! もう、始まらないねぇ!!」
「では、不肖
楽しい勢いに任せて、
「お手伝いいたしますか?」
と、釣られて蛍丸も立つが、それを
「あんたは主催側だ! アタシが行く!」
「あ、母様! 待ってくれよ!」
と、
「あんたは、こっち!」
「ご勘弁を! 何卒! 何卒!!」
悲鳴である。手を合わせ、膝は流石に……と、
「行っちゃえ行っちゃえ!」
クー子は煽る。
結局、
「安心……」
と、しっぽで戯れられている逆隣の
「ひええ、俺……なんてことを……」
陽の受難は続く。この宴の終わりまで。
これで、妲己を除く、クー子の稲荷
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