第93話・ぬらりひょん
クー子たちが
「お帰りなさいクー子様!」
「おかえりなさいませ!」
「玉藻前様共々、お邪魔しております!」
と、
「たまちゃんが、ぬらりひょんみたいになってる!!」
ぬらりひょんは神族永遠の謎の一つである。妖怪のくせに、ちっとも怖くないのだ。被害と言えば、いつもお茶の一杯だけである。
調和が行き過ぎた存在こそ、ぬらりひょん。神が定めるところの、善性の存在である。どこに行っても、そこに調和してしまう存在である。
「そんな、謎妖怪みたいに言わないでくださいよ! 仲良くなっただけです!」
と、不満げな
「本物に、失礼である……」
「たまちゃん、誰と仲良くなったの?」
クー子は訊ねた。
「蛍丸さんですよ! クー子様がいなかったので、一緒にご飯作ってました!」
その時である。
「誰?」
クー子達は顔を見合わせた。そこに誰もいないと、すっかり思っていたのだ。
「ぬらりひょんだー! 捕まえるよー!!」
UMAといえば捕獲である。クー子は、その場所に飛びかかる。
だが、
「どどど、どういうことでございますか!?」
混乱するみゃーこ。
ぬらりひょんの記述は、
「うはは!
ぬらりひょんは、自分を認識した
それを、クー子達はなぜかスルーしてしまうのだ。聞こえているにも関わらず。
「どこですか!? ぬらりひょん!!」
「
そう言うと、
「消えた……」
「うぅー! 助言聞きそびれたぁー!」
ぬらりひょんは、見つけることができれば助言を与えてくれる。それは
「聞いた!」
だが、
「え!? あ、そっか! クルムは、見つけたんだもんね! じゃあ、いっか!」
クー子はこれにて諦めがつく。助言がもらえたのであれば、
「クー子様! 吉兆ですよ!
「あの……何か、件のお話のように聞こえるのですが?」
蛍丸はそう思っている。なにせ、妖怪のことは様々伝え聞いていたのだ。
「ちょっと違うの。ぬらりひょんはね、解決策だけを助言するの。絶対、
妖怪の区分はざっくりしている。
ぬらりひょんは、退治はしてはいけないとされている妖怪だ。そもそもできないのであるが……。
「ところで、どんな助言ですか!?」
みゃーこが訊ねる。
「
と、
「
クー子はいくらぬらりひょんの予言とは言え、
「そんなものが何故呪われているのです?」
「
と、
悪に属する全ての道はそこから始まった。そんな、尊かった神の怨念なら
「時に、お食事としませんか? せっかく、
と、しっかりしているみゃーこ。
「みゃーこ……どうしてそんなにしっかりした子になっちゃったの……?」
と、クー子は残念がるも……。
「クー子様が、案外ポンコツだからでは?」
と、
「クー子様がポンコツ?」
人も神も魔も、両面持ちてそれとなる。しっかりとしている面もあれば、ダメな部分もある。しっかりしている面が強ければ強いほど、ポンコツも盛大なのだ。
こうして、クー子達は昼食会を開始した。
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