第92話・事解
「じゃあ、私も
基本的に神通力が開花したら、神は一も二もなくその神通力を調べる。どんな道を通って神になるのかを、知っておかねばならないのだ。
調和を念頭に置く善の道か、それとも自己のみを探求する悪の道かである。もちろん、
神の世界における善と悪、その間には些細な差しかない。調和のために歩み寄るかどうかである。たったそれだけの差が、本質を真逆にしてしまう。
「もちろんです! お願いします!」
と、
「よ、よろしくお願いします!」
「うん! じゃ、行くよ! 稲荷の命賜りし、道先の
道先の
神族のコマ育ては、相互扶助だ。だから、この宣言がなくても大抵は、困っているのを目撃した神が放置するはずもない。
「あ……」
クー子の神通力が
「さすが
大切な何かを守るためにその力を使う、そんな道である。その神通力は、そもそもが悪意を遠ざける力に特化している。
ただし、
「そうなのですか!? なんだか、嬉しいです!」
尊敬する神と同質だったのだ。それを喜ばない者がどこに居ようか。
「きっと立派な
そんな話をしているときである。クー子は思い立った。
「ねえ、花ちゃん。クルムに、
それは絶対に、
「あ、全なる道ですもんね!? 是非、教えさせてください!」
その道を歩く神族は、全ての神の宝である。
「よろしく!」
と、
「クー子様、
みゃーこは、
「あ、そうだね! みゃーこも行っておいで!
「はい!」
こうして、二人は
そして、クー子は
「さて、
クー子の感じた
「解きほぐす?」
「うん。きっと、
術式を混ぜ合わせる事によって、全く別物を生み出してしまう。それがクー子のおかしなところ。そして、自身では持ち得ない神通力の形質変化は、妖力で無理やりだ。とは言っても、神通力の術に比べ妖力の術はかなり劣化する。さらに、難易度だって想像を絶するものだ。
「
それは、悪意と向き合うための術である。
「うーんとね。
“これを
「はい! 神として宣言するのは慣れませんが……」
その術を無手で行えるのが
「じゃあ、こうかな……。“
思いついたのは、とにかく時間のかかる術だった。じっくりと時間をかけて、悪意を持つ理由を紐解くのである。
「えっと……。速玉の事解の命賜りて、
ただの言葉も、適した神が放てば術である。神通力が動き、風が吹き抜けた。
「うん! でもね、これはすごく時間がかかる。だけど、少しだけ対処が難しいなって相手にも通用するはずだよ」
そこだけが、今のところ利点だ。
そうして、昼まで、術をあーでもない、こーでもないと、こねくり回したのである。
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