第90話・お比売様ごっこ
『
巫女からのLinneメッセージ、所々
クー子はそのメッセージに、安心した。
ここで、一度クー子は
「クルム、みゃーこ、蛍丸ちゃん! ちょっと、他の神様の所に遊びに行かない?」
と、二人のコマたちに話かけた。
「行く!」
「もちろん参ります! どちらの神様ですか?」
乗り気はみゃーこも同じ。みゃーこはクー子を心から信頼しているから、当然である。
「花ちゃん」
クー子は少し苦笑しながら答える。少々めんどくさい気持ちがあるのである。
「いいですね!」
だが、みゃーこは露知らず。クー子を尊敬する人が好きなのである。
と、二人に関しては乗り気だったのだが、蛍丸はそうではなかった。
「今は非常時でございます。社の護りに私をおいていかれてはいかがでしょう?」
それが本心ではないことが、目を見ればわかった。
「何がしたいのかな?」
見透かしたクー子は近づいて、言う。
「えっとその……食材の使用をご許可いただければ……」
蛍丸は、すっかり味覚の探求者だったのである。ついでに言えば、食べることは悪いことではない。捧げられた食べ物を食べるのは、糧である。
「うん! いいよ! せっかく人化してられるんだから、味覚を楽しんでね!」
クー子は蛍丸を尊重した。今は味覚が彼女の優先事項だ。彼女も千歳間近、そうそう問題も起こさないだろう。
だから、クー子は安心して社を任せた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
みゃーこは
そして、転移が終わる。神社間限定であるから、万能なわけではない。
転移すると、
「クー姉さま! よくぞお越しくださいました!」
そこにいたのは、
クー子は、
一歩踏み出すつもりも、当然あった。
「花ちゃんやっほー!
クー子は訊ねた。
「
その答えには、可愛がりっぷりがにじみ出ていたのである。
「あ、
女神は基本的に、子煩悩なのだ。なぜなら、自身が子煩悩な神に育てられている場合が多いからだ。子煩悩は遺伝する。
「はい!
「わかるー! でもそれ、コマに対する感情じゃ?」
クー子は共感した。だが、短期間で花はすっかりほだされている。まるで、自分のコマを育てるかのように手塩にかけているのだ。
「だって……可愛いんですもん! あの子は絶対
親バカである。どこまでも親バカだ。
「あはは……でも、気持ちわかるなぁ……。私もコマが可愛くて仕方ないからね!」
クー子もクー子で、二人のコマが可愛くて仕方がない。無自覚にママなのだ。
それに、これで少しはクー子の追っかけな属性がなりを潜める気がしたのである。
「そういえば、そちらの子。クー姉さまの新しいコマですか?」
「うん! 自己紹介、してくれる?」
クー子は
「渡芽! クルム!」
彼女は自分どちらの名前に誇りがある。だからこそ、フンスと息を吐いて宣言したのである。
「えっと……?」
だが、
「あ、クルムはあだ名だよ。
神の間では、真名を名乗り合う。神格としての名は、真名によって決まるのだ。
「なるほど。じゃあ、
正式に呼ばれる敬称を含む名が、神には存在する。
「おぉー!」
感嘆する
「
みゃーこもそんな風に呼んで欲しくなったのである。
「そうですね、みゃーこちゃんは……。
神につけられる“ひめ”の字は二種類ある。毘売と比売だ。後者は、戦姫や賢姫といった、優れたる才媛を意味する。どちらがその神の本質を表す方で決めるのである。
「うーん。みゃーこは
クー子はみゃーこの場合、そっちを強調したい。
「では、
ごっこ遊びである。神になったときに正式になんと呼ばれるだろうか、そんな妄想を楽しんでいるのだ。
尚、クー子は正式には。
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