第82話・ウカノミタマシステム
そんな、和やかな放送に、突如波乱の種が投下される。
それが、
「
「そんな!? こんなところにまで御足労いただくなんて……」
みゃーこと蛍丸は盛大に慌てた。
「ん?」
幸運にも、その偉いという感覚に馴染んでいない渡芽の反応は薄かった。
反応が激しかった、二人をみて、クー子はたらりたらりと冷や汗を流す。
「え……えっと……」
ヤバイのである。彼女が本物の宇迦之御魂ではないというわけにも行かず、本物として扱わせるのもヤバイ気がする。もはや八方塞がりである。
さらに、そこに追撃をかけるは、陰陽師……。
陽:
その文章は、祝詞構文だった。だが、その意味は言ってしまえば“先生、何やってんですか!?”にとても近い。
そりゃそうである、ふらっと知り合いの放送を覗きに来たら、正一位の神がいたのだ。誰でもびっくりするだろう……。
「え、えと!
ここは、本物の
むしろ、ガチ本物であるミカちゃんの隠れ蓑になりうる。
「どどど、どうしましょう……。どうしましょう!?」
とにかく混乱するみゃーこ。
「だだだ、大丈夫です! たたたた、楽しみにいらしてらっしゃるのです!」
それは、蛍丸も大概であった。
不意打ちだったのだ。ネット越しでなければ、こんなに慌てることはない。表情が見えないから、気分を損ねてもわからないという恐怖があるのである。
「普段……親しげ……」
だが、それを
「そうでございました!
クー子の冷や汗は止まらない。宇迦之御魂の実在を知る者たちが、喋ってしまっているのだ。
マジコイキツネスキー大佐:おーい、
みたいではない、居るのだ。むしろ、一度出演している。
コサック農家:
クー子はここだと思った。もはや針の穴を通すような感覚すら感じた。
「
願わくば、ミカちゃんが
だが、誤解も解かなくてはならない。蛍丸及びみゃーこは少し緊張している。
同時進行で、陽にLinneを送った……。
『どうしよう……、あの
それはもう、言い逃れのしようがないほどの狐バレを誘発すると思った。だからこそ、ほぼ悲鳴だった。
返信は直ぐに帰ってきた。
『なんだ、偽物か……。焦ったー! とりあえずさ、文字かなんかで、映さないようにしながら、伝えればいいんじゃね?』
クー子はそれを即座に実行に移す。陽の存在は、クー子にとって、もはや天の助けだった。
『三人とも、この人は
空中に画面を出し、そこに文字を映す。だが、クー子は基本的にポンコツである。それを、上手く隠せる訳もなかった。
すぐに、陽からLinneが来る。
『おい、映ってる!』
だが、見ているのはクー子の視聴者たちである。これまで、幾度となくクー子の演技に楽しませてもらっていると思っている。だから、クー子に都合のいいように理解するのだ。
ポリゴン!:翻訳班!!
マジコイキツネスキー大佐:多分こう「本当は
チベ★スナ:なるほど! バレないように気を付けるギミックを、この
クー子はもはや、ここまで都合のいいことがあっていいのかと思った。
普通に考えて、
だからこそ、そんな風にご都合的に曲解された。
「うん、狐バレ警戒システムツカッテイイヨー」
そぉい!:ここでカタコトになるのが俺たちのクー子ちゃんって感じだよな……
曲解者が代弁に代弁を重ね、巡り巡って原型は何処へやら……。
だが、そのコメントに引っかかった者が一人……。
「あなたたちの……違う!」
今、
もちろん、それはコマとしてだ。みゃーこや蛍丸を排除したいとは考えていない。
万が一、ハーレムになるようなことがあったら、そのハーレム系主人公は
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