第80話・偽之御魂
午後になって、
クー子は、ツブヤイッターにダイレクトメールが届いていることに気づいた。
『初めまして! これから、
それはあろう事か、
『あ、全然問題ありませんよ! というより
クー子は何も演じていない。それが故に、とてつもない演技力に見えているだけである。
受け取った側は慌てる。だが、演技を第一にしているというクー子の印象がいい方向に作用したのである。
返信はすぐに来た。デビューの準備に全力だったのである。
『さすがのプロ意識です! 本当に
クー子は焦った。本物ではないと、ようやく理解した。
焦って、そのままの勢いで、リンクをクリックした。
『こんにちは! 早速ThisCode追加ありがとうございます!
なんというか、元気な人である。クー子はそう思った。
本物の
なかなかにカオスである。
『こんにちは! クー子です! 私の設定では、
だが、慌てるクー子はより怪しく見えるような態度を取ってしまう。それを、人間たちの常識がサポートする。
本当に
『本当に、さすがですね! バレないようにしてるっていう設定まで、裏を含めて
ちなみに現在、クー子は戦闘訓練中である。みゃーこと、渡芽を相手に組手をしながら答えている。神だけに、人知を気軽に超えていくのだ。
さらに、クー子は同時進行で、ステージとVtuberのキーワードでGogglesで検索する。専門用語が、まだあやふやなのだ。
『
それはほぼ、
『ありがとうございます! じゃあ、そのように注文させてもらいますね!』
数万の頂点を持つ多面体を作るのと絵を書くの、どちらが早いかは自明の理だ。
『はい! これから、よろしくお願いしますね!』
クー子はほくそ笑んだ。これで、狐バレのリスクが減ると思った。
だが、クー子は気づいていなかった。この時、クー子のチャンネル登録者数、四万人。知名度が、水面下でじわじわと、指数関数的な動きを始めていることに……。
「もう! クー子様は強すぎます!」
話は、戦闘訓練の傍ら。クー子は二人を相手に、片手間でいなしていた。
片手間なことすら、悟らせなかった。
「強い……触る……無理……」
二人はしょぼくれた。だが、正一位とまともな戦闘が可能なクー子相手に、コマが勝つなど不可能。それはほとんど、原理的な話なのである。
「でも、みゃーこは術の応用がどんどん上手になってるよ! クルムもびっくり! 狐形態を、ものすごく上手く活用するね!」
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