第79話・下世話
「いや本当に! クー子は、料理上手です! 嫁の貰い手に逆方向に困ってしまいますね!」
「威厳……死んだ……」
「あの、神も結婚するのでしょうか?」
蛍丸はふと、それが気になった。元が器物、結婚というものや、自分の性を実感しづらい。
「あ、その話題は
訳あって、妹は
「ちなみに、お見合いをご希望でしたら例大祭の折に私か、
神は自由恋愛とお見合いの併用であるが、
「結婚は義務ですか?」
みゃーこはもうすぐ神として独立する。だから、それが少し不安だった。
「
「その割には
一回ではあるが、かつてクー子は
そもそも
「懐かしいですね。相性は悪くないと、思います」
そんな経緯で結局独身。稲荷で結婚歴があるのは、
「もう、その気はありませんって!」
クー子は別に男というものが嫌いなわけではない。だが、稲荷で居ると、未婚の男神との接点が持ちにくいのである。
「では、女神がお相手では?」
「め、女神!?」
クー子は、思わぬ候補が上がることに驚く。
「ええ、そこの
将来的に
尚、今は、道を示すだけ。結婚というのができるのだと。そして、その相手には女神も考えていいのだと。
「ん……?」
当然、
「全なる道の特徴でして、踏破なさると肉体にちょっとした変化が……」
それは、食事時の話ではなかった。当然クー子は理解した。
「あの噂本当なんですね……」
天照は両性具有である。その噂が、
「何?」
不安になる
「えーっと……。
クー子はその話題を避けていた。今、
「もしかして、あの話ですか?」
蛍丸は思い当たる。それが、人の世で広まったのは蛍丸がそこにいた頃だ。
「はて……
「今というわけではないけど、話しておくべきでしょう。
神の世界、そこでは育ての親と、その子供が結婚することだってあった。
近年では、どうせ死なないのだし、女神同士もいいではないかという話になっている。神の婚姻はカオスだ。
更には、
「クルムだからねぇ……」
ただ、クー子は曲解した。要は、女神を結婚相手に指名できるという情報。それと、肉体の変化。二つの情報を与えて、理解できるような年齢に差し掛かれば、情報が結びつくようにと……。
「可能性?」
「遠い将来の話になりますが、そこのクー子と婚姻を結べるかもしれません」
それがもし、全なる道の踏破者としての願いなら、クー子は拒否できない。ある意味、ずっとそばにいてもらえることにもなるのである。
「
だが、いくらなんでも、今は早い。それに食事時である。
「申し訳ない。少々強引でしたか?」
「全くです……」
クー子は
「婚姻……」
だが、少女というのはマセるもので、
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