第70話・赴任
帰るときはやはり、
「クーちゃん。なんだか、すっかり賑やかになっちまったね。コマが二人に、
こんな大事のさなかでも、前だけを見つめればこそ慌ててばかりもいられない。
心に平静を、そして常に前を見つめて歩くのが重要だ。
だから、それはそれ、これはこれである。
「はい、
Linneはやはり便利。
こちらが畏んでいると、相手はカチコんで来る。そんなことでは、目も当てられない。
「みゃーこ、クルム! いいかい、神には寿命なんてない。それに、あんたたちにはクーちゃんがいる。だから、来年は必ず来るんだ。今年は残念だった、でも来年は最後まできっと楽しめる。なにせ、来年はあたしとクー子が同じ中祭への参加だ!」
だが、そもそもである。コマたちにとって、10日もまた長い。小さな鋼と一緒だ、熱し易く冷め易い心を持っている。
「はい!」
「ん!」
それはそれとして、二人は元気よく答えた。
「
「
刹那の別れ、だとしても惜しんだ。
ようするに、それは儀式。再び会うことへの祈りの現れだ。
「出会ったのは刹那でございます。だから、この言葉でお送りさせてください。これからは、どうぞお見知りおきを……」
「クー子、
「あ! そうだ!
「へ!?」
「クーちゃん! 名案だ! いざって時に、後から
それに
「お慕い申し上げる主神を迎えるのです! 大賛成ですよ!」
本当は全員、グループに誘う言い訳が欲しかったのだ。高貴すぎると、こういった時にめんどくさい。
「はは、わかった。誘っておくれ」
「では、
「
毎年
「じゃあ、みんな! 私たちも送ってもらお!」
クー子が言って……。
「「はい!」」
「ん!」
答えはそれぞれ。だけど、
「クー子、あんたは最近自分の殻を破った。そりゃ、いくら褒めても足りないようなことだ。だけどね、辛くなったらいつでも相談しな。あたしも、たまも、
それは、ひどく優しい激励だった。頑張れというのではない。頑張っていると認めて、逃げ道を用意する。
幾度となく受け入れてもらった経験のあるクー子には、それがいくらでも安心できてしまう激励だった。
「甘えちゃうかもしれませんよ?」
と、ちゃらけたつもりで言ってみせる。
「いつでも甘えにおいで」
だが、
「クー子様、私たちの主神ですよ?」
きっと自分もそうなるだろう。願わくばそうなりたい。そんな風に、クー子は思った。
「はは……」
と、笑って……。
「さ、みんな行くよ!」
と声をかけた。
四人で陣に入ると、
「
クー子たちは、
やはり、小さな社だ。神主はおらず、岩が祀られているだけ。社の本体は
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