第69話・神坐開き
ほとんどの神が返されて、クー子は残された。
そこに、代わりと言わんばかりに
そして、
入ってくるのを見届けると、
「謝ってばかりだ。荒ぶる神なのにな……」
だけど、そうも言ってられない。
だから、誰も、何も言えなかった。
「
それは、愚問でしかなかったのだ。そもそも、
「ん!」
だから、
「そうか、だいぶ待たせちまったんだな。今から、始めよう」
さすがに威圧感を感じて、
目線に気づいたみゃーこは、仕草で頑張れと伝える。ただ、この一瞬のために。
「
四角の囲いを方と呼ぶ。
「クルム。
蛍丸は見届け人だ。
中に入ったクー子は、小さな声で
「ん……」
「
クー子は迎える神。
「
「
「
「
「
誰でも戸惑うだろう。肉体が一度完全になくなるのだ。だから、この歌が組み込まれている。迎える神が、そばにいることが決められている。
「抱きたまへ。きみの子なり」
一度消えた肉体は、迎える神の腕の中で再構成されるようにその歌を歌う。
「これにきみが母ぞ」
転生までも含む
「
神は、自らを幼子の下に置く。まっさらな子供は可能性の塊だ。だから、大切にしろと、わかっているとしても言い聞かせる。
「健やかにあれと、願ふのみ」
その可能性を不意にしないことを祈る歌を、
光が集まっていく。クー子の腕の中に。
やがてそれは、小さな狐の姿になった。
「クルム、コンコン」
人間としての力はその姿でもある程度残る。真似して発音することもできるのだ。
「コンコン……」
人間の姿になっていく流れを感じ、それを少しだけ押しとどめた。
気づけば、耳と尾だけ狐となった
「あれ? 完全な人化出来ると思ったんだけど……」
もともと人間だと、人化の術の原理的に完成度が上がるはずだった。
「人間……嫌!」
「待った! この子、どんだけ神通力持ってるんだい!?」
奥から見る
尾の美しさは稲荷の神通力の証左である。
「えっと……。クルム、あれやるよ! 稲荷の命賜りし、道先ぞ。
いつしかやった、妖力を確認する術式。そこに含まれる言葉を少し変えて、流し込むのを妖力ではなく神通力にすれば、相手の神通力を把握できる。
「ん!」
「うわ……すっごい……」
だが、まだだろう。みゃーこは知識がある。本当に並ぶことができるのは、もっと未来の話だ。
「せやろなぁ……感じるで!」
蛭子は商人だ。相手の器を測るのは得意である。
「あー緊張した! 本当の
と崩れ落ちる、
「あはは、みんなありがとう! んで、
そして、またしても死んだ
これにて、本当の神隠しが完了した。
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