第62話・神器授与
神々の秘め事の話が終わったあとの、
「ところでだ……みゃーこ、お前いいもの持ってるな!」
みゃーこが持つ五級の神器を、主神の中でも神階すら超越した神がそう称した。つまり、それは五級に分類されているのがおかしいものなのだ。
「これが何かわかるのですか!?」
みゃーこは訊ねる。
「
「それは、一級じゃないですか!?」
例えば、妖怪に憑依された人間を切りつけるとする。一級神器は、人に傷を与えずに妖怪だけど切り裂くことができるのである。
「まだ、そこまでじゃない。でも、そうなりそうだから今のうちに俺がみゃーこのだって認めちまおうって話だぜ!」
「では……」
みゃーこは目釘を外し、
「ほぉ……なるほどな。これから、育っていくから子の剣か! お前が育てるんだぞ!」
ようやく明らかになった、みゃーこの剣の正体。武神……英雄神と言ったほうが近いかもしれないが、そんな側面を持つ
「
みゃーこにとって、それは十分な
「クー子のコマなら、安心だ。でだ、妖怪に取り憑かれた人間をクー子は助けたんだったな? 似たようなこともあるかも知れないし、一級が必要だよな?」
だから、超理論のこじ付けが行われた。
「え、えっと……そんな……」
クー子は
「起きろ、蛍」
「
それは、身の細い少女だった。黄色く光る瞳が妖しく、雪のような肌はまるで陶磁器のようだったのである。
「お前に、この稲荷……クー子を頼みたいんだ」
「
丁寧な、そして落ち着いた少女である。
「コイツはな、折れても元通りになる。錆びてもだ。そのくせ、滅多なことじゃ折れない。かなり頼りになるぜ!」
塩を使うことが多い妖怪退治。鋼は塩で錆びてしまう。だから、
「これが
みゃーこはつぶやくが、彼女はそんな生易しいものではない。
「その中でも上位だよ……」
「コイツと組んじまえ。そんで、
いくらなんでもだ。コマが二級の神器などありえない。従三位が一級の神器などありえない。
「恐れ多いですって! それに、儀式のその時まで、この子には人間の道を……」
あと少しだけしか時間はない。それでも本当に
「なわけあるか!」
一喝し、
「
「いらない……」
「わかったよ。もう言わない。ごめんね、後悔して欲しくなくて、慎重になりすぎた」
クー子は過保護だったのだ。だけど、証拠があり、本人の言葉がある。後悔しないのなら、それでいい。クー子は、これにて最終確認を終えた。
「では、
「おう! 元気でな!」
短い別れを、
「クルム。これを……。どうか、あなたの導になりますように」
クー子は
だが、おかしい。
矛は目の前にある。
神階に対して、持っている力もアンバランス。持っている神器もどこかおかしい。そんな、特異点のような三人組になったのであった。
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