第58話・高天稲荷大社
その後は、下の席を周り、最後に第六席に戻ってクー子たちの祭りの一日目は終わる。
先頭には男が、数多の動物たちを従えてくる。人の姿を取らない彼らは、夜の神。
人の目は、光がないと世界を見渡せない。夜は恐ろしい世界だ。だからこそ獣の強さが必要なのである。
クー子たち
だからといって、夜の神に軽んじられる訳ではなかった。夜の最高神に似たるものとして、敬意を受けている。
「昼の神に
止まったのは、大きな狼だった。
夜の神で人の姿を取るのはただ一柱、同じ神族であっても例外はない。彼らは、
「ならば、月の導に従いましょう……」
夜の最高神は、
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クー子たち稲荷神族は、その狼の背に乗って
「ふかふか……」
それはさておき、
「そうであろう! 月夜の銀狼は、稲荷にも劣らぬぞ! ふはははは!」
狼は神一柱につき、一体。主神を乗せるのが神格で、それ以外はコマである。
クー子、みゃーこ、
「その発言やめとこ? イヌ科神族戦争になるから」
と、クー子は狼をたしなめる。イヌ科神族戦争は、別に深刻な戦争ではない。きのこたけのこ戦争に似た何かである。
「なに! それを楽しんでいるのですよ!」
もちろん、そういう派閥も存在するのだ。その、戦争ごっこが楽しいと言う派閥も。
「ところで、先頭を歩いていた男性はなんという方ですか?」
みゃーこもまた、月夜神族と出会うのは始めてだ。好奇心の強いみゃーこ故に、聞かざるを得ない。
「あれは、
はっきり言って、月夜見はイケメンである。ただし、女神曰く、
「もふもふ?」
「ウハハ!
本性である人間が有名なのが日本。仮姿である狼男が有名なのが西洋である。
だが、フェンリルより狼男の方が貴いことはほぼ知られてないない。
「
なにせイケメンで知られている神。クー子は
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しばらく走って、稲荷一行は
「では、
一行を送ったのは三匹の狼。うち一柱だけが神格を持っている。
「よろしくお頼み申す。酒乱もいるからね……」
神といえど、祭りで羽目を外しすぎるものは多い。特に、多神教でしか活動しない神々だ。だから、
「ふふっ、もちろん! そのための
ついでにそれも取り締まるのが
「みゃーこ、
招き入れてもらわない限り、神の家には入ることができない。神の家の扉は、とても強固な結界である。
「はーい!」
と、みゃーこ。
「大きい……」
あまりの大きさに圧倒される
なにせ、稲荷神族が増えたとき、ここはその全てを受け入れなくてはならない。そのために大きく作られている。
「んでおかえり。
「「「ただいま!」」」
稲荷神族六人、扉をくぐって中へと入ってゆく。
あとは、神酒を飲んで眠るだけ。ちなみに、神の世界では酒と付けばなんでも神酒である。アルコール度数0%の甘酒も例外ではない。コマのうちは、この甘酒を飲むのが決まりだ。未成神飲酒禁止法は、近年制定された法律である。
酒蔵にはいろいろな酒がある。当然、口噛みの酒も置いてある。クー子の口噛みの酒は、
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