第57話・水底の心
第一席での用事が終わったあと、
素戔嗚尊のステージの後ろには、
その更に奥には、特級神器がある。
四席に戻ると、最初のような人だかりは消えていた。なにせ
だが、それが幸い。こうして、祭りの終わり際には、
「クー子……」
「久しぶりだね。元気してたかな?」
「おぉー! 本当に来てくれた! ありがと!」
そして
クー子はもう今にも
ふと目を離したすきに、
「
「
そしてなぜか自己紹介を交わした。
「あはは、見たところ二人共口数が少ないね! 通じるところがあったのかな?」
その様子を見て大笑いしたのが
「あの二人、何か目で通じ合ってません!?」
みゃーこはびっくりしていた。二人共、一言も話さずに見つめ合っているのだ。
「
クー子が教えた。
「クー子、君は姉さんにまかせてくれるのかな?」
「私も、昔胸を貸してもらいましたから!」
心の奥底に秘めた痛みを
「クー子様、それは?」
みゃーこは訊ねた。
それは、クー子にとって恥ずかしい過去。でも、そろそろみゃーこにも聞かせていい気がした。
「
人嫌いと寂しがり屋は両立する。嫌われたくないから、先んじて嫌っておく。離れるのが怖いから、そもそも近づかない。だからとって、孤独が好きなわけではないのだ。
打ち明けてからだ、
「いやぁ、あの時は大泣きしてたよね! 懐かしいな、あんなに小さかったのに」
そのときは、クー子もホンドギツネ基準の大きさだった。今のみゃーことそんなに変わり無い。
「こら
「ごめんごめん」
「クー子様にもそのような時が……?」
みゃーこは幼いから、クー子が全能に見える。でも、そんなものはまだどこにもいない。
「あったよ。でも、私だけじゃない。
このあたりは、クー子も伝聞だ。彼女が生まれるより、ずっと昔のできごとである。
「みゃーこちゃん。これあげる!」
「わー! だめー!」
当然、クー子もである。
「いいじゃん!」
そう言っている間に、
「大丈夫……その悩みは、消える……」
「本当?」
「待てばいい……」
それは、
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