第56話・世忌むなや
第一席、ケテル。そこは、
「掛けまくも畏き
そこは、この
「
そんな場所であるから、やはり形式というのは重要視される。
「
クー子は体をかがめて、全身で敬意を表した。
「ならば、そろそろ良いであろう……」
だが、
「お心のままに……」
クー子が言うと、
「クー子! 聞いたよ! 人の世で、妖怪退治したんだって? すごいね! えらいね! あ、怪我とかない? 呪いは大丈夫?」
こっちが
「はい、全然大丈夫ですよ!」
クー子ほどの神通力保有者だと、妖怪からはまず呪われない。
「よかったよかった! もし何かあったら、俺たちに絶対言うんだよ! そういうの、得意だから!」
特にキリスト教系は、解呪が得意だ。中には、近づいただけで解いてしまう神もいる。無意識に解呪の力を垂れ流しているのだ。
「なんだか印象がガラリと……」
「威厳……死んだ……」
挨拶の儀式を行っている間と、今とでは、全く印象が違う。
あまりの落差に顔を見合わせているみゃーこと
「体見せてー! 特に、そっちの子!」
断じて変な意味ではない。単純に診断がしたいだけである。
「ん?」
それに首を傾げる
「ほらほら、見てもらお? 何かあったら大変だし!」
大国主くらいになると、人間の診察ももちろんできる。採血しなくても、体内の血をそのまま検査できる。医療では割となんでもありだ。
「ん……」
クー子の言葉に従って、
「ちょっと、首触るよ。あ、お名前は?」
そう言いながら、
「
何をされているのかさっぱりわからないまま、
「
あとは
「あー!」
「うんうん。綺麗だね! ただ、免疫が揃ってないみたいだからお薬飲もうか!」
本来ならワクチン接種をするところ。神は飲み薬でそれが可能だ。なにせ、医療の神
「ん!」
と、
ついでに、神は薬が苦いという概念を知らない。神の薬、無味無臭だったり美味しかったりする。
「
呼びかけると、すぐに
薬の調合は、
「お持ちいたしました。さ、
「ん!」
「よーしよし! じゃあ、しっかり食べて、丈夫に育つんだぞ!」
「ありがとう!」
そう言って、
「じゃあ次の子ね!」
ここに来ると、様々な予防ができるのだ。それは、何も病気だけではない。
「はい!」
呼ばれたみゃーこは、大国主のそばまで行く。
「お名前は?」
「
答えながらも、手を伝って入ってくる
「それじゃあ、ちょっとだけ術かけさせてね!」
呪いから守る術式をかけることも、
「お願いします!」
みゃーこが言うと、
「ひふみ、よいむなや、こともちろらね……」
神が唱えるそれは、とてつもない加護を与える。それは、呪いの無力化のための言葉だ。
緋文は、血で書かれた文字のこと。呪いの文のこと。それに対して、世を
空間に文字が浮かび、そして踊り、みゃーこに宿っていく。最高の護法だ。
「ありがとうございます!」
「うん! でも、絶対じゃないからね! 忘れないで、いつでも大黒神族に頼ってね!」
これにて、第一席での用事は終わりである。
この、ひふみ
――――
※このひふみ神文は作者による物語に都合のいい解釈であり、実際の解釈とは異なります。
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