第55話・異教コラボ
第二席の奥、そこには
西洋在住の神も、日本在住の神も。もちろん、
「パンである! キリスト教名物パンである!」
そして、今年はあの
「稲荷のお野菜菓子ですー! 神通力もりもりで甘く作りましたー!」
なんの因果か、一店舗挟んで
「なれど! 人はパンのみにて生きるにあらず!」
「コラボして、ピザパンにしました!」
挟まれた店では、かのイエス・キリストが
「人間……」
そこには、
「あ、うん。でも、あの人間。特別いい人だよ! クルムのこと、助けようと声をかけてくれたんだ……」
もう二度会っているし、クー子は
そもそも、
「大丈夫?」
「怖いことをクルムにするようだったら、となりのイエス様が黙ってないよ!」
イエスは大国主を主神とする大黒神族である。優しいことで有名で、特に身体的健康を守ってくれる神々だ。
中でも、イエスは他人の空腹を許さない。ただ、自分は空腹でもいいと思っている。大国主にそこを直せと注意されているのだ。
「行く!」
そう言って、
「あ、クルム!」
と、それをみゃーこが追いかける。
そのあとを、クー子が歩いて追いかけた。
「む! あの時の少女であるな! 顔色が良いである! 元気な顔を見ることができて、喜ばしいである! 甘いパンは好きであるか?」
だからこそ、良心は人外にのみ備わった特徴だと思った。まるで、天使の羽のように、狐の尻尾のように。
「好き……」
「これは、あなたの戦利品である! クー子様に、自慢してから食べるのだぞ!」
自慢させる理由は、与えてもいいかという伺い。戦利品と表現したのは、恐怖と戦った
「ありがとう!」
それを見て、イエスは言った。
「アウベルトゥス。良き施しです」
イエスにとって、
「お、恐れ多いでありますううううううううう!」
「クルム、メロンパンです! イエス様はパン作りの達人ですよ! きっと、とても美味しいです! さ、クー子様に自慢しましょう!」
追いついたみゃーこを含め、神々はクー子に断られるとは思っていない。仲のいい人から、子供が奢ってもらったという感覚である。さすがに、高価だったり量が多かったりすれば断るが、メロンパン一個だ。
「もらった!」
「やったね! お礼もちゃんと言えて偉いよ!」
クー子は、もらってすぐにお礼を言った
「三つ……分ける!」
そう言って、クー子にメロンパンを差し出してきたのだ。
クー子も泣きそうになった。コマのいい子がすぎると、神は泣くものである。
「うん、分けるね……! クルム、ありがとうね!」
あそこから、どうしてこんなにもいい子に育ったのか。クー子は疑問だったが、それは単純にクー子の育て方が良かっただけである。
クー子はパンを三つにちぎった。自分の分は小さく、そしてみゃーこと渡芽の分は大きく。
屋台の神々はその様子を、ほっこりとした顔で眺めていた。
その後、クー子はその三店舗で買い物をした。
そして、さらに奥へ。三人で縁日を
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