黄金の黄昏
神坐開き
第50話・神遊び
クー子は久しぶりに、この
「
最初から座っているのはそれぞれの神族の主神。彼らは、待っているのだ。自分が育てた神が、前を通るのを。
主神たちの歌、それを現代語訳するならこうなる。“私の狛、道が知りたいなら私が前を歩いて通らせましょう”。
クー子は、渡芽とみゃーこを連れて歩く。主神たちが並ぶ、花道を。
それは、歩きであり、踊りである。吾狛という、神に特有の神楽である。
「
クー子が歌う、育ててくれた神への感謝の歌。次は自分が道先案内人となる、そんな歌を、舞いながら、神楽鈴を鳴らしながら。
「「
今、コマとして育てられている者たちの歌。みゃーこと
「
最後にクー子の返しの歌がうたわれる。この、最後の歌は、コマの態度によって変わる歌だった。
「あはは、二人はあんたと大違いかい!?」
ここまでは、オープニングセレモニーのようなもの。祭りは、ここからである。
「だって、二人ともすぐ行っちゃいそうなんですもん!」
クー子は口を尖らせた。クー子が歌ったのは、頑張り屋のコマに贈る歌だ。“可愛い私の狛、どうかずっと巣立たないで欲しい”。そんな歌である。
コマ離れできていないから、もうちょっと怠けて欲しい。一般的に、そういう建前で頑張りすぎと受け取られる歌である。だが、クー子の場合、本当にコマ離れできていないのだ。
そうは言っても、思い通りにならないのがコマというもの。神々の共通認識である。
「いやぁ、二人とも立派に舞えてたからね! クー子がそっちを歌うのもよくわかるよ!」
特に
プロテインとは、要するにタンパク質サプリメントである。加えてクー子の食事でしっかりとそれが吸収される栄養管理がされていた。だから、一見すると華奢な少女である。だが、インナーマッスルは発達していて、それに伴って運動神経が抜群になっていた。今の
「頑張った!」
フンスと鼻息を吐く
「見て取れるよ! たくさん練習したんだね! 肉もついて、すっかり美人になったじゃないか! 嬉しいね!」
一方相手は神々だ、しもぶくれのおかめ顔を美人と思う感性も持ち合わせている。ついでに現代美人の理解している。だが、やせすぎはダメだ。すぐに太らせにかかるような文化である。
「むふー!」
褒められてすっかり上機嫌の
「
みゃーこもみゃーこで成長している。それが嬉しくて寂しいのが、神々である。
「お嬢様でございますよ! 由緒正しき、稲荷の神族です!」
お嬢様といのはあながち間違いではない。
「そうだった! 自分がお偉いだって、忘れてたよ!」
本当は、
「さ、みんな遊んでおいで! 例大祭は
そして、
同時多発的に、自分の主神との挨拶を終えた神々が、遊びの場へと解き放たれた。
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