第40話・女社会
クー子は、
「おかえりなさいませ!」
「おかえり……」
そんな、クー子を最初に二人のコマたちが迎える。そして、その後ろから
「おかえり、クーちゃん。あんた、最近すごく頑張るじゃないか! 次からはいつでもいいな! あんたが仕事に行く時は、あたしが二人を見てやるから!」
と言っても、みゃーこはもう見ておく必要もないのである。だからといって、寂しい思いはさせたくない。だから、
クー子は、
だが、
「ただいま!」
クー子は自然と顔がほころんだ。
「ところで、あんた! この子達すごいいい子じゃないか! 寝ていいって言ったのに、待ってるって聞かないんだよ! あんたのこと、大好きなんだね!」
だから、少しお節介でもある。コマが放置されてると知ったら飛んでくる。Linneの活用は、
「もちろん大好きですぞ!」
「ん!」
二人共、意見は一緒だった。普段とてもやさしく、ひとかけらの理不尽すらないクー子が大好きだった。
「ありがとう。私も大好きだよ!」
クー子はまず、無条件で愛している。だけど、愛おしくなるような部分が次々見えてたまらないのだ。待っててくれたことだって、子育ての醍醐味だ。
「いい子すぎて、こっちが遊んでもらっちまったよ!」
そう言って、がらっぱち年上子狐な
これが俗に言う、女社会。女性の方が、参加の機会が多いためそう呼ばれたものだ。女神たちの、有り余った母性の不法投棄場でもある。無論、男性神族も参加する場合はかなり多い。ただ、稲荷と言うコミュニティに男がなぜかいないのだ。
それから、クー子達は寝室に向かう。布団は、みゃーこ、
中でも、二人は、布団に寝転ぶとすぐに寝てしまった。クー子は、しっぽ枕が利用してもらえず、少し寂しかったのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
二人が眠ると、
「相当可愛がってるんだね、あんたのコマはまるで世界を愛してるみたいだよ」
多くのコマを育てた
「さすが、
と、少し天狗になってみて、ツッコミを期待した。
「本当のことだから、ド突けないじゃないか!」
だけど、
「あれ?」
拍子抜けしてしまう。ちょっと誇大表現だと、クー子は思っていたのに。
寛容な神に育てられた。だから、我慢することだってできる。怖いのを我慢して、人間にしか見えない神族とも関わった。そして今や、
今のクー子は、
「本当のことなんだよ。あんたは本当に、
「
クー子は、ピンと来ないまま話を進めた。
「あんたの前じゃ、頑張ってたのさ。神はコマの前じゃ、カッコつける。あんただってそうだろ?」
すぐに、実体験を想起させるほどに、納得させられた。
「確かに、すごくカッコつけちゃいます」
クー子は、恥ずかしくて笑った。
クー子は、だからなのだと納得した。放送では、ポンコツな部分ばっかり前面に出るのも。たまに、仕事を忘れて
「ま、あんたはポンコツだけどね!」
でも、それは大きな勘違い。クー子は、細部が結構ポンコツだ。しっかりしてるのは、求められてる部分だけ。
「ひどいです!」
クー子は抗議するも……。
「そこもあんたのいいとこだよ。肩肘張らずに居られる空気を、無意識につくる。あんたは、すごい子だよ」
それもひっくるめて、クー子が好きな
「子供扱いされてます……」
クー子だって三千歳。でも、相手は一万歳超えだ。太刀打ちなんて、できようはずもなかった。
「いくつになっても、甘えてもらったあの日を忘れられないのさ。許しておくれ」
甘えは、子供からの頂き物。神々はそう考える。だから、育てているのに、もらうものをすごくたくさん感じるのだ。
「むー!」
クー子はむくれた。
「そうだ。これ、届いたよ」
「みゃーこのですか?」
「あぁ、そうだよ。あんたも、そのうちあたしの気持ちがわかるだろうね」
クー子は少しわかり始めている。みゃーこが成長する嬉しさ、そして寂しさを。
だから、後ほんの少しの、みゃーこと居れる時間を楽しみたいと思っているのだ。そして願わくば、葛の葉と自分のように、みゃーこと自分が繋がっていられればと。何度も、願わずにはいられなかった。
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