第39話・神々の混迷
しっかり魔術や妖術を使える人間、それは家守神族では対処が無理だ。家守神族が主に対応する妖怪は、すねこすり。最近では、やたら足の小指をぶつける現象を引き起こさせる妖怪である。
余談、神を苛立たせると、似たような現象に見舞われることがある。最もポピュラーな神罰である。
対して、
天狗など日本三大妖怪の種族として数えられるほど、ポピュラーかつ強力な妖怪。そんなものを日頃から相手にしている神が、ちょっと魔術が使える人間に負けるわけがないのである。
「離せ! 私は黄金の夜明け団のメイガスだぞ! 貴様らを呪い殺すなぞわけないのだぞ! 女ごときが、ヘブッ!?」
あまりにうるさかったからか、男は
「援軍に来てくれたの? ありがとう! でも、もう終わっちゃったよー」
今しがた、蹴りを入れたばかりの彼女がにこやかに話す。メイガスを名乗った男のことは、なんとも思っていないようである。
「あぁ、はい。そのつもりだったんですけど、全く問題なかったみたいですね」
と、クー子は言ったのである。
「クー子様、隠れないでください……」
そう、
「女の分際でッヘブッ!」
男はまた蹴られた。
「女神が最高神って言われてる国で何言ってんの? あ、でも
ただ、肉体的な傾向も加味されている。女性はパワーはないけど、細かいこと気づいてくれるよね。かつて、そんな文化な国だった。
それが、男尊女卑的になったのは、戦乱が原因である。男は、戦いの中で
だから、それ以前から生きている神々の前で女性差別をすると、軽蔑されるのである。
「あ、
神の世界でLinne普及委員会は、暗黙的に発足したようなものだ。もはや、玉藻前も、その利便性に気づいている。まだと言われれば、Linneにて連絡をするつもりだった。
「うん!
そんな話をしていると、まるで待ってでもいたかのようなタイミングで、その神は現れた。
「や! ヴァチカンの
毛髪は生え際から肩口の毛先に向けて、その色が深くなっていく。まるで、海の断面を見るかのようなグラデーションの頭髪だ。瞳は、
「きゃー!
「麗しゅうございます! 眼福にございます!」
「無理……尊い……」
だが、この場で最強である。
「
「いえいえ! お役に立てて光栄です! いつでも、頑張りますからね!」
「私も忘れないで頂きたい!
前回の反省を踏まえてか、文言を修正してきた。だが……。
「ごめん、それだと恐喝……。脅す人みたい……」
恐喝に聞こえるのである。
クー子は反省した。だけど、この祓魔師がコミカルであまり怖くないと思えた。
「日本語難しいである……」
「ま、元気だしなよ。かなり日本語上手なんだからさ!」
「なるほど、勉強中なのですね! 怖い人かと思って焦りました……。ところで、Linne交換しておきません? いざという時、お呼びかけしやすいと思います!」
「こ、光栄である!! 是非、お願いしたく! だが、スマホがないのである……」
その日、ヴァチカンに本籍を持つ
「それ、最近、
そして、加速度的に増えていく、神族のLinneユーザー。シュール極まりないことが起きている。元凶はクー子だ。
「天使様はすごいのであるうぅぅぅ!」
相手が天使だけに何をしても、感激する
「あ、それはそうと。この、異端クソ野郎は回収するである!」
近年のヴァチカンでは、悪魔崇拝が異端。そして、天使に害を成すと称号がクソまみれになるのだ。
「それじゃ、
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