ただ一つ救われる道
第35話・覚悟
Linneが急に通知してきたそんな言葉で、クー子は飛び起きた。
午前7時のことである。クー子が普段起きる時間であることを考えると、それはいい目覚ましになったと考えることもできる。
『これ便利だねクー子。
主神格は手紙を使う機会が多い。それは、下級の神族が、主神に畏みなんて言われると恐れ多いからである。また、神の場合思考する速度で手紙を書けてしまうという部分もある。
だが、やはり、面倒な部分も多くて、Linneは少し便利だと思ったのだ。
『わかりました。
対して、クー子のLinneは少し現代人的だ。
『もう返事来るのかい。本当に便利だ! あとは、本人の意思がしっかり続くかが問題だね。そうじゃなけりゃ、術が不発しちまう。まぁ、あんたはやんないだろうけどね、一応言っておくよ。あの子の心を捻じ曲げたり、縛ったりすることだけはないようにね』
そんなことがあると、
それが起こる頃には、もう神として進むべき道をかなり引き返してしまっている。神に戻るのは、数千年後になるだろう……。
『もちろんです。そんなことが起こらないように、心の底から愛して育てるだけです』
ただ、行った場合、脳の発達はやり直しだ。知識を保持したまま、脳構造が赤子になる。
『クー子、あんたイヤイヤ期の覚悟はあるかね?』
『もちろんです!』
脳が赤子から発達し直しになる、前頭葉の発達期もある。だから、イヤイヤ期だって訪れるのだ。
『ま、聞くまでもなかったかね……』
どうせあるのだろうとは、
『はい!』
クー子も、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
やがて、クー子のコマたちが起き始める。
「おはようございます、クー子様……」
目をこすりながら、みゃーこが言った。
「おはよ……」
「おはよう、みゃーこ、
「うん……」
「
考える期間は大事だと思う。一ヶ月は短い、そんなものは大人の感覚。まだ十代に入ったばかりの少女には十分長い時間だ。
「狐……なる! なる!」
「良かったですな、
一ヶ月でとなると、今の
「そうだね、体作りと儀式の練習。どっちも、並行作業だね!
頑張れないのであれば、期間を伸ばしてもらわなくてはならない。それは、もともと可能だ。
「やる!」
これでようやく、大好きな神々と同じ存在になれる。そう思えば、どんな苦労も霞んで見えた。
「じゃあ、協力する! しっかり体作って、いっぱい練習しようね!」
クー子には、猛烈に欲しいものができた。それは、大豆関連の商品だ。
体を作るのに、タンパク質は欠かせない。畑の肉とまで言われる大豆は、味のバリエーションと食感のそれを多様化する。それと同時に、タンパク質の供給量まで増やすのだ。特にきな粉は非常に優秀だ。100gあたりのタンパク質含有量が、肉類最強の生ハムすら超える。油揚げだって、捨ておけない。豚ロースに迫る、含有量を持っている。
クー子にとって、人間の通貨獲得が、非常に急務になった瞬間だった。
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