第26話・山神(胸が)
クー子は走った。クーコの頭の中には、人間と出くわすという恐怖が渦巻いている。万に一つ、億に一つ、出くわしたのならどう逃げるかを考えていた。妄想の中のクー子はスマートに、カバーストーリー“コスプレイベント帰り”の設定を詰めていく。
「あんれまぁ……雅な水干だべ……」
「ぴゃあああああああああああああああああ!!!」
だが、現実は甘くなかった。出会った瞬間、頭は真っ白になり、両手をあげて
そう、本当は、超人間恐怖症だ。だがクー子の中では、
クー子に声をかけた相手は、か弱そうでかつ、優しげな
クー子はまず、最寄りの
逆に、神は両脇を通ってはいけない。うっかり、妖怪と間違われて討伐されかねない。と言っても、神にも格があり、ここの神はクー子を害するほどの力を持っていない。
クー子が真ん中を通ると、そのまま
「あらあら? あらあらあら? クー子ちゃんじゃない!? もう、お外平気なのね?」
ここの神もまた、母性たっぷりなのである。というより、女神は母性が強い場合が多い。ここの神も、三つの山の化身を産み落とした、ママ系女神である。
「あ、
彼女とクー子の面識は2900年前だ。クー子が
「気にしないでー!
彼女は
現在、まともに人の姿である。だが、人化を
「ありがとうございます! それで、
これまでは、クー子の管轄では、
「うん、知ってる。だって、
この、
前回の
「あはは……知ってましたか……。挨拶遅くなってごめんなさい……」
「いいの! だって、ここまで来れるようになったのもびっくりなんだもん。偉いわ、よく頑張ったわね」
余談……。
クー子が行けなかった場合は、
「ありがとうございます!」
クー子もクー子で、いつかは会ってみたいと思った神である。
ついでに、ここで出会ったことで、二人の間で
「あ、そうそう。
この、
「はい! じゃあ、声かけて回りますね!」
「うん、気をつけてねー!」
そんなこんなで別れたあと、クー子は街へとやってきた。
実は、町の方が、人に会わない。電線に屋根にと、人間とは違う階層の足場がたくさんある。
屋根の上にクー子が来れば、
クー子がやるのは、それに対して、名前を告げて畏み畏みできるようにするだけ。ついでに、お願いねと一言であった。
管轄地の
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