第23話・たまちゃん嵐を呼ぶ
「なんで、
そんな疑問を持つのも、クー子なら当然。クー子の印象では、
「多分、おんなじことやってもまだダメだった時期なんじゃないかね? それか、単純に、思いつかなかったってこともありえるね!」
葛の葉の言うとおり、
「まさかぁ……。
疑うクー子を見る、
「ま、最近はどうか知らないけど、案外抜けてるし、可愛らしい人だよ
神々でまだ、踏破者が
来客とは、いつだって突然だ。予定の時間より早く来ることが多いし、大抵は意識を抜いた瞬間を狙いすましたように現れる。
「
「新たなるコマ。
クー子は感じた。これが、コマ・ゴット・ハイであると……。クー子もかつてこれを経験している。初めてコマを得た神は、得てしてテンションが上がるものだ。単語自体は、最近生まれたものだが、概念は昔からある。
「あー、たまちゃんもテンション上がってる……」
参拝はこの時期が最も効果的だ。大抵は、何か災が去ったあとである。神のテンションが爆アゲ故に、五割増しでご利益があるのだ。これが、日本の復興景気の原因である。
「そこ! たまちゃん言わないでください!
稲荷神族、割とポンコツが多いのである。
「なんで皆さん人化してるんですか!?
「たまちゃん様?」
「
もう、嵐がやってきたようなものであった。
見れば、
「なんだいなんだい! 賑やかだね! いや、愉快だよ!」
「あれ? 葛の葉様、小さくなってません?」
玉藻前と、葛の葉が前回出会ったのは、84年前だ。神の感覚であるから、まぁまぁお久しぶりくらいである。
「いいか? 今、ロリ狐はモテる!!」
しかしながら、異性との恋愛となると、外部の親族か人間が相手だ。なぜか、稲荷神族は女神ばかりが生まれるのである。これも、神族永遠の謎の一つだ。
それとは真逆に、男性ばかりの神族もある。
「あの……降格されますよ?」
そう言いながら、
人間の世界に伝承が残っている稲荷神族には、人化のスペシャリストな側面がある。だから、
「あれ? なんか、羽おちた……」
人化した
「あ、ダッキーの羽かもしれません……」
「ダッキー、国内の教会に顔出してるの?」
そして、その中でも究極的に人化がうまいのが妲己である。それが原因で、
実は、
「はい、
人の世と関わりが深めのお狐さん、玉藻前だから時たま出会うのである。
東京というのが、またブラックなのである。人が多く、様々な宗教が入り乱れる場所だ。
「あの子にとって、油揚げって一体何なんだろうね……」
呟く葛の葉は、半笑いだった。
それを、甘んじて受け入れる理由が油揚げ。
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