第17話・狐は賢母だらけ
人の姿で、自分から近寄のは、入浴と着付け。その時以外は、
ただ、
「すっかり綺麗になったね! 二人共、お手伝いありがとう!」
修行ではある。だけど、神にとっては、家の掃除をコマたちに手伝ってもらったことに変わりはない。人間に例えるのであれば、子供が手伝ってくれたと同じだ。クー子は素直に嬉しいのである。
「クー子様、
しっかりもののみゃーこは、準備万端である。それは、神族同士がやりとりするときに必要な材料である。必要なものは境内に揃っている。よって、その利便性は固定電話とさして変わりはない。
今は、
「ありがとう! 渡芽ちゃん偉い! みゃーこも偉い!」
クー子にとって、二人共百点満点である。もう、どうしようもなく、愛おしいと思った。
「いえいえ! あ、
「うん……」
そんな話をしていると、みゃーこはその枝を地面に鳥居のように並べた。
「準備万端だね! それじゃあ、二人共私の後ろに立ってね!」
そこから、ちょっとした神事が始まった。
「はい!」
「うん!」
それぞれに返事をして、クー子の後ろに並ぶ。右がみゃーこで、左が渡芽。右に居る方が、先輩なのである。
「
前半は、目的の神がいる場所である。
メッセージの内容によって申すが変化することもある。例えば、妖怪退治である。この場合、も
『くーちゃん!? 元気してた!? 聞いたよ、妖怪退治に行ったんだって? ちょうどよかったや、今度そっちに遊びに行っていい? お土産持って行くから!』
葛の葉は珍しく、クー子より年上である。平安時代で既に、一万歳だったのだ。
だが、外見を言うなら、そうは見えないタイプである。童顔にして小柄、ロリでグレートマザーでババアである。なお、その文言が本人の耳に触れようものなら、かなり痛い程度に調整された天罰が落ちる。
「葛の葉様! 久しぶりです! 本当にちょうどよかった!
葛の葉は、引きこもり卒業の兆しを見せたクー子を褒めたい。そして、クー子は
だから、会いたいと言う部分で二人は合致していた。
『いいねいいね! 行くよ! 明日空いてる?』
神族は、日本にいるとフットワークが軽くなる。
「あ、空いてますよ! たまちゃんにも声をかけようって思ってるんですけど……」
『お、いいね! コマ持ちになるのが決まったばかりだ! 会って、安心するんじゃない?』
葛の葉は、コマ育てのプロと言っても過言ではない。故に、コマの困り事は、葛の葉に聞けというのが稲荷神族の常識だ。
「じゃあ、声かけますね!」
『うん! じゃあね! あ、みゃーこ! 明日が楽しみだよ!』
「はい! 葛の葉様、
と、
「人……?」
「狐だよー! 人は来ないよー!」
これまで、人間がクー子の
「安心……」
そうつぶやいて、
それを確認したクー子は、次に声を掛ける予定の相手に同じことをする。
「
今度は、
例え、
なお、たまちゃんなどのニックネームで呼びかけられるようにする案は、現在
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