第12話・狐に養子入り
「あの、本当に大丈夫ですか!? もうすぐ、高天会議じゃ?」
現在午前六時三十分。神の時間感覚がバグっているせいで危機感を感じるのだ。高天会議は午前九時から、そして主神ともなれば、距離などあってないようなものだ。
二時間半前、クー子のそれを二十歳の人間に例えるのであれば、感覚的に一分前だ。慌ててしかるべきである。
そんな折、
逆に
「十分もあれば、会議の準備は充分さ! 最近気付いた!」
ちなみに
故に、
なお、シアノバクテリアが生まれたから
「そ、それならいいんですけど……」
そんな折、居間から声がした。
「
どうやら、クー子の尻尾枕が無くなって、
「あはは!
「そうですね!」
その程度のことでみゃーこが怒らないというのは、二柱とも知っていたのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一方クー子は、中間を作り出すのは無理だった。よって、完全な狐姿で居間に戻った。
「
狐は九尾……900歳までは尾を増やすが、それ以降は減らすのだ。3000歳以上は一本が常識である。
「うか……さま?」
そう、知っていればだが……。
「うん、
知らない
「駆兎狐だって、そうじゃないか!」
植物のことは、とりあえず稲荷神族に頼めば良い。肉は、
「そんなこと言ったら、みゃーこだって最近御利益出せるようになりましたよ!」
みゃーこも、成長中だ。まだ、25歳。それにしては、目覚しいのである。
「とまぁ、あたしはその米や野菜の神のまとめ役!
伏見稲荷大社などの中の人が、ここに降臨しているのだ。渡芽には分かっていないが、人知を超えた出会いである。
「かみ……さま?」
「そうだとも! でもね、このクー子も立派な神さ」
まだ神と呼べないのは、ここに置いて
「そう……なの?」
「そうだよー! ここには、神族しかこないよー!」
なんなら、
「
「あ、
「コマ……?」
そう言って、
「ち……」
クー子が言いかけるのを遮って、
「まだ違う。でも、あんたはそうなりたいかい? なったら最後、人の世には戻れないよ?」
「戻る……嫌」
そうだろうなとは、クー子は予想していた。少なくとも今は、戻るなんて恐ろしすぎるはずだと……。
「そんじゃ、クー子。面倒見てあげな!」
「
「そっちはもう決まってるのさ。東京に
それも、
「ダッキーはどうします?」
「あいつは、まだコマはダメだね! でも、真意を先に言いな!」
クー子は、既に別れるなら涙である。
「あ、はい……。途中で取られることがなさそうで安心しました!」
これ以上、情が沸こうものなら、クー子は絶対別れられなくなるところだったのだ。助けた日の、押し付けとは違う。今度は、奪われる可能性を潰していたのである。
「いて……いい?」
クー子は目線を
「居て欲しいな。ずっとね……」
「んじゃ、あたしは帰るよ! どうせあんたなら、立派に育てるってわかってるから! でも、大事にしておやりよ!」
それに関しては、絶対に抜かりのないのがクー子である。
「うん! 立派な
ただ、クー子にはそんな教育しかできないのであるが……。
帰った、そう思ったとき
「あ、クー子。次やったら
それは、真意を先に言わないことで渡芽を傷つける行為に対してだ。
「は、はい!!」
次にやるときは、クー子が過剰な罪悪感を負うことになる。そんな、予言でもあった。
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