お狐家族日誌
第11話・主神賢母
次の日のことである。
クー子は強烈な神通力を感じて目を覚ました。ただ、そこに在るというだけで、世界の法則になるほどの力。
クー子はその力を知っていた。
飛び起きて、みゃーこと渡芽を確認した。二人はまだ起きていない。おそらく、力は自分に向けてのみ放出されている。呼ばれているのだ。
クー子は静かに少し離れて、それから駆け出した。途中人化して、力の源に会いに行った。
それは、
「
顔を見たとたん、クー子はこらえきれず抱きついたのだ。
だが、それには理由があるのだ。
もし、普通に神族の市場に油揚げを流したら、それを買い占めてしまうのが
「
2年ぶり。クー子の感じるこれの感覚を人間に治すと、一ヶ月ぶりですらかなり大げさだ。
「そのくらいですねー! あ、お忙しいって聞いたのですけど。おかわりありませんか?」
実際、
「
現在午前四時である。
「はい! お時間が許されるのであれば!」
クー子は、
「じゃあ、まず一つ目。クー子、外に出たね! 人間を怖がっていたのに、協力までして、偉いじゃないないか! あたしは、鼻が高いよ! それこそ、天狗になっちまうくらいだとも!」
そう、
「運も良かったんです! 出会った人間は、みんないい人でした!
「まぁ、二人共
正一位の神、こうしているとただのいい母親である。親子の概念は彼女だけにはある。なにせ、彼女には
「分かりました!」
「それじゃあ、二つ目だ。こっちは、あんたが助けた女の子について……」
そして、もう半分の来訪理由。
「は、はい!」
クー子は緊張した。なにせ、特殊な場合を除いて禁止されている、神隠しを行ったのである。
「あんた、不安がってる子供の前で押し付け合いしてるんじゃないよ! むしろ、取り合いな! ああいう子はね、不安なんだよ! 愛してもらったこともない、生きてることが許されないんじゃないかって思ってる! だから、うちの子になって欲しいって全力で伝えな! 問題が出たら、あたしが解決してやるから! もし、人の世に戻さなきゃならなくても、あたしがやるから!」
だが、
クー子には、それがわかる経験があった。故に、クー子の中でふつふつと罪悪感が湧き上がった。
徐々に青ざめていくクー子の顔、それを見て
クー子は、びっくりして、頭を抑えて彼女を見た。
「ごめんなさい……」
ただ、クー子の心は、
「いいさ。仕置は受けたんだ! あんたも反省しているし、これで説教は終わりだよ!」
「うん、もう絶対しません!」
クー子は
「よし! あたしのコマだっただけあるね! あの子のことは、
神ともなると、名前の一部を知れば、個人を完全に特定できる。
「えっと、本当の名前がわからなくて……。
それが、ニックネームや、仮の名前であってもだ。
「わかった……。ん? それが、
ただ、
「え!? ちゃんと、名前考えたかったのに……」
クー子は、
「
真名は道に入る第一歩になったりする。道に入る方法も、道自体も無数にある。だが、
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