喜章

ここは、どこだ?

俺は、周りを見渡すとまたしても真っ白の空間にいた。

またか、これは何かの嫌がらせか?

あの老人と女性は、コスプレイヤーか何かで拉致なのかもしれない。

「それは、あまりに失礼ですよ。私はしっかりとした天使です」

あれ?今声に出していたか?まさかコスプレイヤーでエスパーなのか。

「だからコスプレイヤーでもエスパーでもありません。天・使・です」

「分かりました。あなたが天使(自称)というのは、私はなぜここにいるのですか?」

「あなたと会話をするのは、とても疲れます。これから、あなたには、喜びの感情を取り戻してもらいます」

「喜び?普通にありますけど」

「いいえ、あなたは既に喜びを失っているもしくは、失いつつあります」

「あなたに何が分かるんですか?」

「私は、天使です。ザウス様から一部力を使えます。だから分かるのです」

「まぁ納得はしていませんが、話が進まないので反論しません。で、私はこれから何をするですか?」

「これからも反論しないでもらえると助かります。加賀美様には、喜びを味わえる場所に行ってもらいます。感情を思い出していただきます」

「はぁーこれから飛行機、新幹線のチケットを取っていただけるのですか?まさか実費ですか?」

「…そんなことは、ありません。では、」

天使は、ものすごく呆れた顔をしているが大事なことだ。

経費で落ちないのは、辛いのだから。

ドーン

「おお!」

俺は、突然白い空間から下に落ちた。


地表に近づくと雑居ビルやマンション、一軒家など日本家屋が見える

地面まで10メートル付近で急激に速度が抑えられ無事着地ができた。

ここは、日本のようだ。

地理的にどこかは、分からない。

「加賀美さん、聞こえますか?」

「聞こえるが、どこから話かている?」

「加賀美さんの脳内に話しかけているんです。これから加賀美さんには、地図の通り行動していただきます。終わったらミッションクリアです。加賀美さんのスーツジェットにお財布と地図とメモ帳を入れてあります。それでは、お願いしますね。困ったことがあったら脳内に直接語りかけてください」

「脳内?」

「そうです、脳内です。では」

「…脳内なんてなんだ?」


俺は、言われた通り、スーツジャケットから財布とメモ帳を見る。

①宝くじで30万円分当てる(スクラッチ) 

②猫カフェに行く

なんだこれは、小学生のお使いなのか?

やはりあの天使(自称)は、おかしい。


ここは、日本のどこからなのだろうか?

街並みが、地方都市と変わらないが、地名を聞いたことがない。

そんなことを考えながら歩いていると俺は、地図に記載されている宝くじ屋についた。

そもそも30万円なんて当たるわけないだろう。

これならパチンコの方が、確率高いだろ。

俺は、不満ながら宝くじ買うのだった。


近くのファミレスに入り、とりあえず削る。

一枚、一枚、また一枚削る。

これで、喜ぶやついるのか?

全て削り終わり、内容を確認したが、30万円分なかった。

仕方なく再度、宝くじを購入、削る。

しかし、当たらない。

次第に宝くじ屋さんのお姉さまが、不審な目で俺を見てくるようになった。

これは、あまりにも酷いくないか。

まさか、天使の嫌がらせか。

そうに違いない。

「天使、これは俺への嫌がらせなのか?」

「そんなことは、ありません」

「これは、楽しくない」

「ミッションなので、やってください」

俺は、諦め再度削るのだった。

削り始めてから数時間経ったところで、ようやく30万円分当てることができた。

なんとも言えない達成感がある。

言うなれば、書類仕事が片付いたときだ。

「天使、30万円分当てたぞ」

「おめでとうざいます。当てた金額全て加賀美様にお譲りいたします。」

「いらん」

「え?何故です?」

「こんなよく分からない経緯でもらうお金など、怖くて仕方ない」

「そんなこと言わずに」

「いらない」

「分かりました。そいうことにしておきますね。次のミッションに向かってください」

俺は次なる目的地、猫カフェに向かうのだった。


猫カフェ兼漫画喫茶のような場所だった。

俺は、気になる漫画を手に取り読み進めるのだった。

確かに猫がいて、漫画を読むのは落ち着く。

久々に休んでいる気がする。

これは、癒しだ。

あっという間に1時間が過ぎ、店を出た。


「天使、全てのミッションが完了した」

「こちらでも確認できましたが…足りません。次の場所に行ってください」

「約束と違う。ミッションは2つまでと聞いている」

「仕方ないのです。メモ帳に追加したので、時間になったら行ってくださいね」

「天使!」

「…」

黙ったな。

約束すら守れないのか、やはり天使(自称)だな。


メモ帳に追加された場所に着いた。

着いたが、ここか。

お店の外観を見上げるといかにもお姉さんがお酒を注いで、おしゃべりしてくれるところだった。

俺は、軽く頭痛を覚えながら仕方なくお店に入るのだった。


俺は、お店に入り、お酒とおしゃべりしながら時間を経つまでひたすら耐えた。

こういうお店は、苦手だ。

はぁー

なぜ苦痛なほど、時間が経つのが長いのか、会議より辛いぞ。

根掘り葉掘り聞き、まさに演技をしているのが透けて見えるこの空間の何が楽しいのか俺にはさっぱり分からなかった。

やっと時間が経過しお店を出ることができた。

「終わった」

「はい、今迎えに行きます」

天使がそうや否や、あっという間に真っ白い空間に戻った。

「加賀美さん、お連れ様でした。少し間まっていてください」

「あぁ」

俺は、真っ白い空間で大の字に倒れ目を閉じ振り返ったが、何が楽しいか分からなかった。世の人たちは、これが楽しいことなのか?分からない。

眠りついた。


モニターがたくさん並ぶ部屋に、神ザウスと天使コロエルが、真剣な表情で向かいあい、

「神様、大変です」

「どうしたコロエルよ、慌てて」

「加賀美さんですが、数値が一切変わりませんでした」

「なんじゃと、ミッションは全てクリアしたのであろう?」

「はい、ですが数値に変化ありません、それより低下し続けていいます」

「何?低下し続けいるじゃと、そんなのありえない。一時的に下がっても常に下がり続けるなんて異常じゃ」

「はい、このままだと本当に消えます」

「…何があったとの言うのじゃ、だが仕方あるまい、急いで次のミッション行い、再度難易度あげ喜びのミッションを課すしかあるまい」

「分かりました。そのように致します」


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