第8話

「あー、よく寝た。つーかクソ神アイツぜってぇ、ぶん殴る」


 


 俺は朝起きるともう日課の1つになった発言をする。勿論、周りに誰もいないことを確認している。考えてみてほしい、6歳児が朝起きた瞬間、普段しない言葉遣い+暴力宣言を起きてそうそう言ってたらヤバいやつだ。




「さあ、今日も1日頑張るぞー」




えいっえいっおーと小学生みたいに腕を振り上げて気合を入れる。


 今日はとうとう魔法を使う。そう、魔法だ。俺はとにかく自分が納得いくまで魔力の練習を4歳のあれからやり続けた。何故なら、俺は35億人の期待と憧れを背負っている。女性も加えると多分50億人分以上あるだろう。だからしっかり練習した。そのおかげですぐにでも魔力を感じられるようになった。


 そして朝の日課である言葉を唱える。




「ステータスオープン」




 するとブオンという音が聞こえる錯覚がして、青い透明な板が空中に現れる。


名前 ルディウス ブルーノ (佐藤 大翔)


年齢 6歳


MP 80/80


HP 21/21


備考   転生者


      ??


前世の名前は日に日に薄れていってセンチメンタルな気分に最初はなっていたな〜とか最近、お腹の魔力の塊が最初より随分大きくなったように感じたな〜 と昔を振り返る。


 MPは毎日増えていった。これは普通に成長するらしい。というのも魔力の練習をやらない日があっても増えてたからだ。実験してみて、俺はその時つい叫んだ。




「これもテンプレにしろよォォォーーー」




 そしてHPも勝手に成長するらしかった。これは納得だ。成長すると筋肉量も増えるはずだし。


 ステータスを見終わると『魔法の書 初級編』を持って




「ライザーー、セーニャーー早く行こう!」




2人を呼ぶ。


 あの1件から俺はとにかく魔法に励んだ。


そして、俺はあることに気づいた。あの図書室はもう大分使われてない。他の本にはたくさんの埃が被っていてだから俺は思った。


虐待されてるようなもんだし、少しくらい借りても良くね……?


少し道徳に反している気がするが、未来のため仕方なく少し拝借させてもらうことにした。


 そして、ライザが来る。俺はライザが少し苦手になった。いや、あの笑顔が苦手だ。


 


 そしてあの野原に着くと急いでページを開く。


俺は期待で一心不乱にページを探す。


やっと出てきた魔法のページで 


『氷刃アイスカッター 


氷の刃を相手に放つ


詠唱  我が敵をそのたがいなき刃で斬り裂け――――氷刃 』




……いや、説明適当すぎない?


 俺は表面上涼しい顔してるが、反対に心臓はバクバクと高鳴っている。


 いつも、昼食を食べている木に向かって手を向けて詠唱する。




「我が敵をそのたがいなき刃で斬り裂け――――」




 詠唱を始めると手の先で小さい氷の粒がつぎつぎと出てきて、それはどんどん集まり薄い氷の板ができる。俺は深呼吸をして最後の詠唱をする。




「氷刃」




するとその刃は木に吸い込まれるようにそれは速く、鋭く、放たれる。


 わずか1秒も満たない間にそれは木にぶつかると、なくなってしまった。


 俺は夢見心地でおぼつかない足でそこを近くで見てみると木に薄くだが、傷が出来ていてこれが夢じゃないと実感する。




「すっげぇーーほんとに魔法だーー! ライザーー! 俺できた! ほんとに出来た! 」




言葉遣いを忘れるほど興奮して後ろに居るライザを呼ぶ。少し冷静になってやっべと思ってライザの様子をうかがうと




「すっごいです! 坊ちゃま!」




 満面の笑みでライザは俺の事を喜んでくれてた。その目はキラキラ輝いていて、いつもの笑顔と違う。


 俺以上に喜んでくれていて少し胸が痛くなった。


 本当に彼女を見捨てていいのか……?


 俺の視界がぼやけてきて、急いで俯くと袖で乱暴に目を拭った。








 

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