第3話

俺は早く起きた。家庭環境を含め俺は冒険者になるしか道がないのでは?


と昨日考えて、だした答えだ。


だから俺は図書室に行ってみることにする。よくある話大体、魔法の勉強は図書室の本でやるのがテンプレだからだ。


 メイドたちにバレないように支度をして、周りを見ながら廊下に出る。


……別に、ヒロインだから着替えさせられるのが恥ずかしくなったわけでは断じて無い。


アレがヒロインとか笑えない。


 バレないようにしながら進むと2つの人影が見えたため身を潜める。


「そういえば、この屋敷第二夫人んっていましたよね? 1度も、見たこともないんですが」


多分、新入りなんだろう。男の子の声だ。


「ああ、あれか……第二夫人はな、今伏せてらっしゃる。最初は、幸せいっぱいって感じだったのに全く旦那様に相手にされず、そのままお心を病んで姿も見てねーな。息子がいるはずだぜ。いやー可哀想な話だな」


もうひとりは、声が低くいから成人してるんだろう。言葉とは裏腹に、声は面白くて堪らないということを隠せてないし、隠す気もなさそうだ。


……下衆め


 ただ別に母親に可哀想とは思わない。俺は夫と仲良くなるための道具にされただけだから、ざまぁとも思わなくもない。そのまま放置しておいたんだから虐待と一緒だろう。


「……そうなんですか」


男がいなくなったのを確認すると新入りの子に声をかける。茶色の髪に黒い目で良く言えば優しそう、悪く言えば気が弱そうだ。さっきの腹いせに尋ねる。なんとなく俺が誰か分かるだろう。


怒っていることが分からないように笑顔で尋ねる。


「ねぇねぇ、図書室の行き方知ってる?


知ってたら僕に教えてくれない? 勿論誰にも言わないから」


そうすれば慌てたあと何故か青ざめながら教えてくれる。


まあ、気にしなくていいだろう。




 図書室に着くと沢山の本がおいてあった。どこをどう見ても本しかない。自分の背丈の2,3倍はあるだろう本棚から探すのに苦労しそうだと思ったが、目立ったところに


『魔法の基礎 初級編 』と書かれた本が置いてあった。


 男子の憧れを目の前にして流石に興奮するが、一周まわって思う。


基礎に初級も中級もあるかよ……




 







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