生きることは神様と巡り合うこと



 ミーニャ・ルオナは決して恵まれた生まれではなかった。

 

 ルオナのお家芸は操影術。

 魔力を媒介に質量のある影を作り出し、意のままに操る術である。

 ただし殺しの技の錬磨は魔力操作や技術の鍛錬に留まらない。

 皮膚をくい破る感触、骨が折れる音、はらわたを裂く手応え。

 殺害への忌避を消し、どこまでやれば人が死ぬのかを学ぶ必要がある。


 逆に、どの程度の負傷で動けなくなるかも知らねばならない。

 その鍛錬と称して父に甚振られることも多かった。

 そう言えば、技を磨いても褒められなかったが、ミーニャを傷つける時だけは父も笑顔だったような気がする。

 後になって知ったが、父はミーニャの才に嫉妬していた。

 つまりあの男は目障りな娘をただ傷つけたかっただけなのだろう。


 ミーニャは暗殺や諜報を生業とする一族の当主の娘で、類稀な素質を持ちながらも、父に疎まれ道具として扱われた。

 政略の相手である母と父を超える才覚を持つミーニャは、煩わしいと遠くに置かれた。

 反対に、側室やその娘は確かに愛されていた。

 

 鍛錬は苦にはならない。

 けれど称賛は得られず、頭を撫でてもらった記憶もなかった。


 もしかして腹違いの妹が羨ましかったのだろうか。

 今となっては分からないことだ。歳月が経ち過ぎて、ミーニャはかつての気持ちを思い出せなくなってしまった。

 ただ、神様に出会った時のことはよく覚えている。


 12歳の頃、神霊結社デルンケムに仕込む刃として選ばれた。

 跡目を継いだばかりの未熟な首領ヴィラベリートに近付き、利用できるのならばそのまま操り、不要とならば首を裂け。

 父に与えられたのは愛情ではく命令だった。

 従ったのは家族を求めていたからではなく、全てを諦めていたから。他の生き方なんて出来ないと思っていた。

 

 なのにハルヴィエドがやってきた。

 悪の科学者のくせに子供に甘い彼は『不愉快だ』の一言でルオナの当主を蹴散らし、ミーニャに手を差し伸べた。

 彼女を閉じ込める檻を、縛り付ける因習を、彼女を苛む全てを根こそぎブチ壊してくれたのだ。


 もしも、あらゆる命が神に祝福されて産まれてくるというのなら。

 彼の差し伸べてくれた手こそがミーニャに贈られた祝福だった。

 

 であれば、あの時胸に宿った、思い出す度に心を震わせるあたたかさが祈りで。

 ミーニャを愛してくれる、自らが守りたいと願う誰か。そこにある確かな想いこそが、神と呼ぶべき存在なのだろう。


 だから彼女にとってハルは神様で、きっと日々を過ごすほどに神様は増えていく。

 誰よりも大切なハルは別格だが、小生意気な子供も一人前だと扱ってくれた統括幹部ゼロス様だって神様だ。

 同じ幹部で同性だから、よく気遣ってくれたレティシアも神様。ミーニャと同じくハルに面倒を見てもらっているヴィラ首領も神様で、なんだかんだ気のいい筋肉なレングはゴリラ・ゴリラ・ゴリラ神。

 日本で出会った同じ目線で友達になってくれた沙雪や茜、萌は仲の良い神様。

 元戦闘員ウェイトレスな英子や、ハルのために頑張るリリア辺りはギリ神判定してもいいかも。

 つまり大切なモノは増えていく。

 此処に至ってようやくミーニャは理解する。

 ああ、私は愛に満ちた幸せな日々を送ってきたのだと。


 一緒にふざけて馬鹿をやって、からかったり弄ったりする。

 血に濡れた手を躊躇いなく握ってくれた貴方との日々を、どれだけ尊いと感じているか、きっとハルは知らないままだ。


 だから大丈夫。

 貴方が誰を愛しても、ちゃんと義妹のままでいられる。

 誰かを恋い慕う横顔だって素敵だし、彼が楽しそうに笑ってくれるならそれでいい。

 そうして歳月が流れ、ハルが唯一の伴侶と永遠を誓ったとしても。

 愛しい女性と歩く貴方の姿を間近で見られて、あの日貰った祝福の代わりに彼の行末を祈れるなんて。

 こんな幸せにケチを付けたら、罰が当たってしまう。


 ミーニャは心の底からそう信じていた。

 信じたままでいられると思っていたのに、耐えられなかった。

 恵まれた者が身の丈を超える恵みを求めること。それは強欲と呼ばれる醜い感情だ。

 そうと分かっていながら、ミーニャはその強欲に身を任せてしまった。

 

『ハル、ごめんなさい。私は我儘で、意地汚くで、強欲だ、にゃ。離れていく貴方の幸せを祈れると思っていたのに。今の私は、自分の幸せの為だけに、貴方が欲しいと願っている』


 ある日、ミーニャはハルヴィエドに縋り付いた。

 救われた身でありながら、彼の眼は他に向けられるのが怖くて辛かった。

 だから意地汚いことを口にしたけれど、言い終えて余計に怖くなった。

 きっと失望された、神様に見放されてしまう。

 神に捨てられた者の行き先は抜け出せない地獄以外にはない。ミーニャは俯き、恐怖におののく。


『苦しめてすまない。私は、ミーニャの心を何も理解していなかった』


 けれど再び祝福が与えられた。

 ハルはあの時差し伸べてくれた手で、今度は抱きしめてくれたのだ。


『遅くはないだろうか。もし許されるなら私は、これからもミーニャと一緒にいたいよ。今度は、掛け替えのない伴侶として』

『あ…ああ……!』


 祈りが天に通じて奇跡が起こったのだと思う。

 涙が後から後から溢れてくる。

 二人は涙を流し合って、目が合えば笑って、言葉を伝えられなくても心で通じ合えた。

 

 だからきっと生きることは神様と巡り合うことだ。


 これからミーニャは愛する人と結ばれ、子をなし、ゆっくりと年老いて。

 その度に新たな神様と出会い、自分の歩いてきた道は多くの愛に満ち溢れていたと何度も知ることになるのだろう。




* * *




 ネッコ「で、ウチが産まれたって訳にゃん」※例の赤ちゃんのポーズ

 ハカセ「いや、何が!?」



(問3)

 ハカセくんが家に帰ると、何故か自宅のマンションには謎の魔法少女猫ネッコがいました。

 彼女はミーニャちゃんの娘だそうですが、年齢的には同じくらいです。

 ネッコちゃんはハカセくんが帰って来るや否や、「初めまして」でも「パパ、久しぶり」でもなく、前置きもなく意味の分からない第一声を発しました。

 さて、ハカセくんはどうすればいいでしょうか。


 ※(ただしミーニャちゃんはちょっと重めの女の子とする)

 ※(また娘であるネッコに自身の心情を伝えてはいるものの、若い頃のハルが余計なことに囚われず自らの望む道を選べるよう、彼には一切話すなと口止めしているものとする)

 ※(たとえ誰と結ばれたとしても笑顔で祝福する覚悟があるものとする)





 ◆




78:名無しの戦闘員

 いちばん魔法少女の決め技っぽい料理をあげた奴が優勝

 ベタだがビーフ・ストロガノフは外せない


79:名無しの戦闘員

 ペペロンチーノぉぉぉぉぉぉぉ! 


80:名無しの戦闘員

 魔法少女だから可愛さを求めんと

 生クリーム・あんみつ♡ だろ


81:名無しの戦闘員

 ハート付けたらチーズ♡牛丼ですら可愛くなるわ

 ごめん、なってないわ


82:名無しの戦闘員

 あらゆるものを浄化せよ、生ウニとパセリのヴルーテ……


83:名無しの戦闘員

 みんな大好き、テリーヌショコラ♪


84:名無しの戦闘員

 お菓子系は大体いけるぞ

 エクレア→雷系

 スプモーネ→氷系

 ミルフィーユ→炎系


85:名無しの戦闘員

 プーレ・ディアブル (鶏肉の悪魔風)は闇堕ちした魔法少女の放つ漆黒の波動


86:名無しの戦闘員

 漏れはBSS食品のレトルト【シチューのお姫様】しか思い浮かばんかった……


87:名無しの戦闘員

 炎の精霊さん、力を貸して! シュヴァイネブラーテン!

 ドイツ料理で豚肉のローストのことです

 

88:名無しの戦闘員

 やはりドイツ料理は強いな

 だがフランス料理も負けちゃいない

 クロック・ムッシュは短い間だけど時を止めることができる


89:名無しの戦闘員

 フランスはポテンシャルが高過ぎる

 キッシュ・ロレーヌとかは投げキッスで敵を魅了・浄化しちゃう感じ


90:名無しの戦闘員

 パンナコッタは殺人ウィルスをまき散らす


91:名無しの戦闘員

 >90

 それは魔法少女というか……


92:ハカセ

 ちなみにウチの今夜の夕食はロールキャベツ

 コンソメでコトコト煮込んであってトロトロ野菜が美味しかった

 もちろん猫耳くのいちの手作りや

 勢いで買ったマンションやけどもう我が家やね、ここは


93:名無しの戦闘員

 ハカセさん家の家庭事情計画のマンションが有効活用されとる

 なんか時間の流れを感じさせるぜ


94:名無しの戦闘員

 俺は当時スレ民じゃなかったからリアタイで見れた奴らがすげーうらやましい


95:名無しの戦闘員

 うちのロールキャベツはコンソメじゃなくトマトベースのスープで煮込む

 ……銀髪ネコミミ美少女が作った訳じゃないけどさぁ

 いいんだ、母ちゃん料理上手だから


96:名無しの戦闘員

 クリーム煮風もイケるぞ

 わりとこういうのって派閥があるんだが俺はどれも好き


97:ハカセ 

 >95

 マッマは大事にしたってな、急に会えなくなることもあるから


 >96

 ワイも食はフレキシブルに楽しむ派

 一人よりも誰かと食べた方が美味しいタイプで、もっぱら猫耳くのいちと一緒やね

 今は猫耳も高校に通っとるからワイが料理する機会も増えたぞ

 得意料理は野菜のトロミあんかけや!


98:名無しの戦闘員

 ちょっと意外

 ハカセのことだから唐揚げとか生姜焼きとか濃い味選ぶかと


99:名無しの戦闘員

 俺的にはむしろ解釈一致

 義妹嫁の体のことを考えて、美味しく野菜をとれる料理を覚えたって感じか


100:名無しの戦闘員

 自分ひとりだったら絶対インスタント冷食乱舞だろうしな

 よう考えたら義妹嫁推しの願いが未来で叶っとるw


101:名無しの戦闘員

 >99

 あー、それはいかにもハカセだ


102:ハカセ

 自分で料理するようになって、改めて猫耳がワイを労わってくれてたと実感したわ

 ホンマにええ子や

 学校ではエレスちゃんと仲良しで、フィオナたんも気にかけてくれとる

 猫耳が楽しそうにしとるとワイも嬉しくなる


103:名無しの戦闘員

 猫耳ちゃんとエレスちゃんが同級生の上、フィオナちゃんがという完璧な布陣

 通いたい(迫真


104:名無しの戦闘員

 同じクラスの男子とかたまらんやろ


105:名無しの戦闘員

 でも授業参観ってハカセがいくの?

 話題の銀髪イケメン経営者が教室に来るとかちょっとした事件じゃん


106:ハカセ

 A子ちゃんが今年三年やからアニキも学校に何度か行くで

 将来家族になるからせくしーも行く

 そしたらゴリマッチョが「俺一人除け者にすんな」って言いだして

 首領と猫耳の授業参観の時はワイ・アニキ・せくしー・ゴリマッチョのドリームチームで向かう手筈になっとります


107:名無しの戦闘員

 圧がすげえw


108:名無しの戦闘員

 でも首領ちゃんも猫耳ちゃんも喜ぶんじゃない?

 いなくなった幹部が自分のために集まるんだから


109:名無しの戦闘員

 初期から見てるワイ将、感無量


110:ハカセ

 そしてワイが今日も一日働いて帰ってきたら、謎の魔法少女猫が家におりました


111:名無しの戦闘員

 ……うん


112:名無しの戦闘員

 知ってた

 だいたい問題はハカセに降りかかるんだって


113:名無しの戦闘員

 とりあえず話してみ? 聞いたるから


114:ハカセ

 サンガツ

 ワイは結構忙しく働いとる

 魔法少女の問題はあるけど、社員の生活を背負っとる身やから仕事には手を抜かん

 ただ、まじかる☆ユエちゃんとらぶりー♡みそらちゃんがウチの社に来た

 その時に、

 

  ユエ「じゃあな、父ちゃん!」

 みそら「パパ、またね」


 みたいな感じでワイを呼んだ

 ……しかも社員の前で

 ワイは考えた

 否定することはできる、親戚の子で通すこともできたはずや

 せやけどそれをしたらこの子達は傷ついてまうのでわ?

 考えたらもう選択肢はなかった

 

 ワイ「いつでも遊びに来ていいよ」


 結果、現在我が社ではユエ&みそらワイの隠し子説が蔓延しとる


115:名無しの戦闘員

 ごめん、笑っちゃいけないんだろうけど草ぁ!


116:名無しの戦闘員

 あいっかわらず自分で自分の首絞めんの好きやなぁw


117:名無しの戦闘員

 ワイ将も見てた

 床に転がって大爆笑したンゴ


118:名無しの戦闘員

 なにがおもろいって、俺らにゃんj民は状況理解してるし元戦闘員っぽい人らも「あぁ……」みたいな顔してるのに

 一部の社員がマジに混乱しきってたのマジで草生え散らかした


119:ハカセ

 一応言っとくけど君らの笑い声聞こえとったからね?

 そんでしっかり働いて帰宅

 家では猫耳が晩御飯を作って待ってくれとる


 ワイ「ただいまー。お腹減ったー」

 猫耳「おかえり、にゃ。今日はロールキャベツ。手を洗ってきて」

 ワイ「おー、うまそう」


 うきうきなワイ、早速手を洗ってきてリビングへ

 すると見慣れない女の子がソファーに座っとるのを発見

 それが謎の魔法少女猫ネッコ、未来からきたワイの娘を名乗る子やった


  ワイ「………………」

 ネッコ「………………」

  

 絡み合う両者の視線

 妙な空気の中で固まる二人

 

  ワイ「………………」

 ネッコ「………………」

  ワイ「…………えーと、君は」

 ネッコ「で、ウチが産まれたって訳にゃん」※例の赤ちゃんのポーズ

  ワイ「いや、何が!?」 


 第一声からして意味が分からんかったわ……


120:名無しの戦闘員

 社員j民は第一秘書がせくしーちゃんだって知っとる

 あんな美女っぷり見せつけておいて、喜々として実況してるンゴね……


121:名無しの戦闘員

 ネッコちゃんの一人称は「ウチ」で語尾が「にゃん」か


122:名無しの戦闘員

 外見的には銀髪ネコミミ和風巫女な魔法少女なんだよね、ネッコちゃん

 さすがに猫耳ちゃんとハカセの娘だけに可愛いよりクールな美人系


123:名無しの戦闘員

 テレビだと年齢も猫耳ちゃんとあんま変わらんかった風に見えたな

 15、6歳くらい?

 でもノリよさそうだぞ、こいつ


124:ハカセ

 ネッコ「若いパパ、こんばんは。お邪魔してまーす、にゃん」

  ワイ「あ、うん。えーと」

  猫耳「私が拾ってきた、にゃ」

 ネッコ「拾われてきたにゃん」


 気軽に未来の娘拾ってこんでもらえる?


125:名無しの戦闘員

 おっと、これはお調子者臭がビンビンするぞ?


126:ハカセ

  ワイ「えーと、君も私の娘でいいのかな?」

 ネッコ「うん。パパの娘で、ママは猫耳。年齢は十五歳にゃん」

 

 ってことは猫耳の一個下か


 ネッコ「学校行きながらママのお手伝いをして、魔法少女としてパパのお手伝いもしてる」

 猫耳「そっか。毎日は、楽しい?」

ネッコ「うん。たくさんの神様に見守られてる、にゃん」

 猫耳「ならよかった、にゃ」


 猫耳がすっごく優しく微笑んどる 

 エレスちゃんみたく戸惑ったりはしてないみたいやね


127:名無しの戦闘員

 神様にってどういうこと?


128:名無しの戦闘員

 猫耳ちゃんはハカセ主義者だからなぁ

 なんというか、猫耳ちゃんにとってのハカセ並みに大切な人がいるよ、くらいか?

 しかし猫耳ちゃんとネッコちゃんの絡み尊い

 俺の夢見た世界がそこに広がっている……


129:名無しの戦闘員

 義妹嫁のテンションもやべぇなw


130:ハカセ

  猫耳「とりあえず……夕食にする?」

  ワイ「じゃあ、そうしようか。ネッコちゃんは?」

 ネッコ「あ、ウチは食べてきたから飲み物だけでいいにゃん」


 それやとなんか申し訳ないなぁと思ったけど本人は気にしとらんみたい


 ネッコ「食べながらウチの話をBGM代わりに聞いてくれてたらいいにゃん」

 

 ってことで、お腹減ったしまずは晩ご飯って流れになった

 三人でテーブル囲んでいただきます

 あぁ~、トロトロのキャベツがおいひい

 付け合わせの白身魚のフリッターがまた憎い

 ワイ冷食もインスタントも好きやけど、猫耳の手作りは別格やね

 

131:名無しの戦闘員

 ちくしょう、晩飯食ったのに腹減ってきた


132:名無しの戦闘員

 明日の昼は洋食屋にするか……


133:ハカセ

 ご飯を食べつつネッコちゃんの話に耳を傾ける

 内容は普通にクピモンとか未来の事情とかやった

 意外とマジメなんかな

 

 ネッコ「あーんはしない? 恥ずかしかったら後ろ向いてるけど」


 あ、それはそれとして弄りにはくるのね


134:名無しの戦闘員

 なあハカセ、多分なんだけど……ネッコちゃんは猫耳ちゃんの血を引いてるぞ?


135:名無しの戦闘員

 順当にハカセ弄り気質も受け継いでやがるw


134:ハカセ

 ゆうてもユエちゃんやみそらちゃんから聞いた内容とあんま変わらん

 魔法少女はみんな別の未来から逆行してきた

 未来ではクピディタース・ラディクスと呼ばれる親玉が存在しとる

 その発生の起点となるのが現代やって話や

 で、ワイは気になってる質問をぶつけてみた

 

 ワイ「未来でアニキってどうなってるの?」


 そう、アニキは組織最強の男

 変な話、アニキがおるのに倒せん敵って存在するのかってことや


 ネッコ「ウチは、20年後の未来から来た。アニキおじさんは49歳、まだまだ現役だけどラディクスを倒せなかったにゃん」


 マジか……というのが感想の一つ

 せやけど「ん、んんー?」とも思ってまう


135:名無しの戦闘員

 まじかる☆ユエちゃん達の話を総合すると確かにちょっと変

 未来にクピモン・ラディクスがいる

 でも壊滅的な打撃は受けてない

 ハカセも無事だし、妻といちゃいちゃもしてる

 なのに魔法少女達が戦っていて、アニキでも勝てないレベルの敵?

 ちぐはぐな印象が強い

 

136:名無しの戦闘員

 なんというか、魔法少女ちゃんに危機感がないのが不思議


137:名無しの戦闘員

 >136

 そ れ だ


 そう、状況的にはひっ迫してそうなのに

 ユエちゃんにしろ、みそらちゃんにしろあんまり焦ってないんだよ

 なら余裕があるのに過去に戻ってまで解決策を求めた意味は?


138:ハカセ

 ユエちゃん達の話とネッコちゃんの話で何となく状況がつかめた

 多分ラディクスは、強い弱い以前に“倒せない敵”なんちゃうかな?

 概念的な守りを宿したタイプだから、アニキがどんなに強くても倒せない

 つまり花嵐のアリスちゃんは倒さずにどうにかする手段を求めた、と考えたら一応筋は通る

 となると、アリスちゃんがリーダーもちょっと意味合いが変わるな


139:名無しの戦闘員

 リーダーの意味?


140:ハカセ

 仮定に推測を重ねる形にはなる

 せやけど、おそらく今回の図面を引いとるのは“時間逆行装置を生み出した人物”

 ぶっちゃけ未来のルルンちゃんや 

 何か思惑があるとしたら、アリスちゃんよりルルンちゃんの方やね


141:名無しの戦闘員

 マジか……


142:名無しの戦闘員

 ルルンちゃんが?

 そういや、ルルンちゃんが魔法少女達を過去に送ったとか言ってたっけ


143:ハカセ

 うん、そう

 ユエちゃんが言っとったからな、ルルンちゃんがワイの弟子ですごい研究者やって

 ルルンちゃんの才能は飛び抜けとる

 ワイは神霊工学者としての指導をしたなら、未来でタイムマシンを作れたって不思議やない

 というより、パラドックスとか倫理を無視した理論上なら今のワイでも作れるしな


144:名無しの戦闘員

 え、ハカセタイムマシン作れるの?


145:ハカセ

 疑似的なもんでいいならすぐにでも

 言ったやろ、ワイらは異次元からの来訪者や

 一度別の次元に移って、時間のずれが起こった時点でもう一度戻る

 それだけで不可逆やけど未来には簡単に行ける

 ワイの場合は異空間に生活スペースを生み出すぎじゅちゅがあるからな

 特定の条件下で時間の流れを敢えて狂わせた異空間を造れば意図的に着地点をずらせるんや


146:名無しの戦闘員

 あー、そうか

 俺らの世界を一度出て、時間の流れの違う別の次元に移ってから戻れば、俺ら視点からすると未来に行ったことにはなるのか


147:名無しの戦闘員

 着地点を変化させることができるなら過去にもいける

 うわ、滅茶苦茶簡単にタイムトリップ出来てるじゃん

 

148:名無しの戦闘員

 ぎじゅちゅは変わんないのねw


149:名無しの戦闘員

 ルルンちゃんがタイムマシンを作ったのは確定

 となると、黒幕説も濃厚になってくるな


150:ハカセ

 黒幕て

 別に現状悪いことしとるわけでもないしな

 ただ、魔法少女ちゃん達は連携こそ取れてないがある程度の情報は共有できとる

 特にラディクスが全ての未来で現れた、っていう事実を知るには話し合いよりも先に並行世界を観測できる装置みたいなモンがあったと考えると収まりがいい


 となると時間逆行装置と並行世界観測器、その両方を誰かが所持している必要がある

 じゃあ花嵐のアリスちゃんがリーダーって言うのは、まとめ役というより未来ルルンちゃんの指示を受けられる立ち位置だから、って考えた方が自然やね

 

 そして並行世界観測器があるとして、ラディクスが将来的に何かをしでかすと知ったから、その解決に乗り出した

 これなら現状危険でないクピモンをどうにかしようとしてる理由にも繋がる

 ルルンちゃんは今後起こるであろう災厄を知ってるんやろうね


151:名無しの戦闘員

 ならとにもかくにもアリスちゃんと接点を持たないといけないわけか


152:ハカセ

 ネッコ「そしてパパはお酒に酔っぱらって、ママに“にゃー、にゃー、膝枕してほしいにゃー、一緒に寝るにゃー”って甘えまくったっててわけにゃん」

  猫耳「いい。それはすごくいい、にゃ」


 そして考察中のワイを放って、なんかまた恥ずかしい話がされてます

 未来のワイぃ……


153:名無しの戦闘員

 切り替えがひどいw 

 お前酒飲むと定期的にやらかすよなw


154:名無しの戦闘員

 いくらイケメンでもそれは許されんやろw


155:名無しの戦闘員

 ネッコちゃんが物心ついてんならハカセ三十路超えじゃね?

 おっさんがにゃーにゃー言いつつ膝枕要求とかほぼ犯罪じゃん


156:ハカセ

 ネッコ「パパはお酒を飲むと、よくママにくっついてるにゃん」

  猫耳「そこらへん詳しく、にゃ」

 ネッコ「例えば、以前家でアニキおじさんとゴリマッチョさん、せくしーおばさんにA子おばさん、首領ちゃんも呼んで飲み会をしたにゃん。そういう時は“ママに負担はかけたくないから”ってパパがご飯を作る。まあでも、ママが一緒に作りたいって言って結局二人で家事するにゃん」


157:名無しの戦闘員

 なんでゴリマッチョはさん付けなのに、せくしーちゃんやA子ちゃんはおばさんなの?


157:名無しの戦闘員

 よく考えろ

 アニキはハカセの義理のアニキ的存在、ってことはネッコちゃんからしたらおじさんや

 アニキの嫁さんなら義理の叔母さんやろ


158:せくしー

 詳しく


159:名無しの戦闘員

 食いついたw


160:名無しの戦闘員

 おそらく二十代後半、いってたら三十代だろうにハカセの娘から首領ちゃん呼ばわりなの草


161:名無しの戦闘員

 首領ちゃんは何歳になっても可愛いんだよ!


162:ハカセ

 ネッコ「で、いい感じにお酒が入ったパパはママに抱き着いて“猫耳ぃ、愛してるよぉ。辛かった過去を忘れられるくらい、ずーっとたくさん、猫耳のこと愛してるからぁ”って言い続けてたにゃん」

  猫耳「詳しく」

  ネッコ「( `Д´)フニャアアアアアアアアア! ママはパパの胸元に頭をのせて、“私も愛してる、にゃ。これまでも、これからも、ずーっと。何度生まれ変わっても、貴方に会いに行くにゃ”って言ってた! (# ゜Д゜) フッニャアー!!」

  猫耳「くやしくとは言ってないにゃ」

 ネッコ「普通に悔しかっただけにゃん。パパとママ仲良すぎ、ウチも撫で撫でして」


 言われたから一応しといた


 ネッコ「にゃー♪」


 喜んでくれました


163:ハカセ

 あれ? セリフの内容まで書く必要なかったのでわ?


164:名無しの戦闘員

 気付くのおっせーよw


165:名無しの戦闘員

 もしかしてネットのノリって20年経っても残ってんのか


166:名無しの戦闘員

 自分から未来の黒歴史を晒していくスタイル


167:ハカセ

 まあそんな感じで騒がしい夕食も終了

 ネッコちゃんに花嵐のアリスと連絡取れるように頼んどいた


 ネッコ「おっけーにゃん」

  ワイ「結局今日はどういう理由で来たの?」

 ネッコ「未来の話で若パパと若ママをからかう。そこで得られた情報で、未来に戻った時パパとママをからかう。ニャンニャンの関係にゃん」


 Win-Winと言いたいんやろうけど、どう考えても一方的にワイの一人負けですよね?


168:名無しの戦闘員

 ハカセが女の子に勝てたためしとかないじゃろ


169:名無しの戦闘員

 しっかし猫耳ちゃんは動じねーな

 エレスちゃんはわたわただったのに


170:ハカセ

 ネッコ「じゃあにゃん、若パパに若ママ」

  猫耳「うん、いつでも遊びに来るといい、我が娘」

 ネッコ「一応言っておくけど、ウチはあくまで未来の娘だよ?」

  猫耳「私とハカセも血は繋がってないけど家族。なら、まだ可能性だとしても、私がそう思ったなら貴女は私の娘、にゃ」

 ネッコ「そっか、へへ」


 ネッコちゃんすっごく嬉しそうな顔で帰っていったわ

 見送った後、ついでにあんまり動揺してないねって聞いてみた


 猫耳「だって私にも未来くらい見えてる、にゃ」

 ワイ「その心は?」

 猫耳「私は、ハルが大切。どんな形であっても、貴方のためになりたいと思う。なら妻になって娘がいる、というのもその形の一つというだけ、にゃ」


 猫耳は妙に晴れやかな顔をしとる


猫耳「義妹のままでも、なにかの拍子に遠く離れても、結婚して妻になっても、結局私の心は変わらない。いつか出会えた神様にずっとずっと感謝して、これからも神様を助けられる自分でいたいというだけ。だから私の未来は何も変わらない、にゃ」


 この子ってすっごいわ


171:名無しの戦闘員

 どんな形でもハカセを大切にするから、どんな未来でも結局一緒ってことか

 いい子だな、すげー重いけど


172:名無しの戦闘員

 実は魔法少女ちゃん達が未来から来たのって、愛を重くするためなんじゃないかって思えてきたw


173:名無しの戦闘員

 とりあえず方針は見えたな

 花嵐のアリスとの情報のすり合わせが最優先だ

 

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