ドラフトのこと
さて、これは首領セルレなる者が街を襲った時の話である。
土曜の昼下がり、俺こと大城零助は仕事に精を出していた。
喫茶店ニルは高校の近くにあるため一番忙しいのは平日の夕方頃だ。
休みの日はのんびりとお茶を楽しむお客様が多く、穏やかな時間が流れている。
ただほんの少しだけ物足りないとも感じる。
俺には───ゼロス・クレイシアには“きょうだい”がいる。
義父であるセルレイザの実子、ヴィラベリート。
仲の良い家族だった筈なのに、いつの間にか諍いは増え、ついには組織を追放されてしまった。
異空間に在る基地に出入りするためには転移装置と許可証が必要だ。その両方を没収された今、ヴィラに会いに行くことはできない。
恨みはない。ただ、わずかな後悔がある。
本当にあの子を想うのなら、みっともなくても統括幹部の地位にしがみ付くべきだったのでは?
しかし結局俺は喫茶店のマスターに収まった。
組織の維持が、先代のための侵略がヴィラのためになるとは思えなかった。だから俺は、ヴィラの力になることを拒否したのだ。
反対にハルは残った。
息の詰まる上層で生きてきたハルは、ヴィラの無邪気さに救われた部分がある。そのせいか、あの子に対してはとことん甘い。
それでなくとも激重感情なハルだ。ヴィラを裏切ることだけは絶対にないと言い切れる。
義兄としての役割を放り出した俺なんかよりよほど信頼できるだろう。
ただ、ヴィラベリート・ファースト写真集『ふぉー・でいず』が郵送されてきた時は眩暈がした。
中身は、日本の文化を楽しんだり勉強に勤しむヴィラの写真だった。
近況を知らせてくれるのは有難いが何故写真集にしたのか。もちろん保存用に追加で一冊頼んでおいた。
『ヴィラ首領のことはお任せを。二人とも、冷静になるには時間が必要でしょう』
組織を離れる際にハルはそう言って俺を送り出した。
つまるところ俺もヴィラも、あいつに甘えているのだ。
「ねえマスター、見て見て!」
少しぼーっとしていたらしい。
女性客に手招きをされて、俺はそちらに意識を向けた。
「今、緊急生放送をやってて、街が大変なことになってるみたいですよ!」
スマホに映った映像は神霊結社デルンケムによる襲撃だ。
相変わらず怪人や魔霊兵はそこらで暴れ回り、ロスト・フェアリーズに倒される。
ただ、今日はいつもと様子が違った。
──そこはかとなく義父さんっぽい六本腕の化け物が、結城さん達と対峙していた。
『我らの大切なモノを奪おうとする悪女め。おぬしの悪行はお見通しじゃ』
『なんですかさっきから! あ、貴方達の方が侵略者でしょう!』
『う、うるさい! お前なんかの好きにさせるか! えーと、ばーか! ばーかばーか!』
加えて神無月さんと言い争っている。
というか声は超野太いが、どう考えても喋ってるのがヴィラである。
ああ、俺これ知ってるわ。
PPシステム──疑似憑依システムといって、以前ハルが研究していたものだ。
あたかも憑依したかのように対象の五感をジャックして体の動きまで掌握してしまう、倫理観を軽く無視した技術である。
おそらくそれの応用で、怪人を遠隔操作する方法を生み出したのだろう。
『馬鹿を抜かすな! ハルヴィエドを手放すなど有り得ん!』
興奮しているせいか、ヴィラは恥ずかしいセリフを町中で叫ぶ。
とりあえずその姿を見て。
「……お兄ちゃん、お前が元気で嬉しいぞ」
すごく微妙な気分で、少し寂しくもあるけれど、なんだかんだまっすぐに育っているようだ。
◆
432:ハカセ
やめて! ワイのために争わないで!
433:名無しの戦闘員
いきなりふざけたことホザいてんぞこのポンコツ
434:名無しの戦闘員
ちょっとフィオナちゃんと上手くいってるからって調子乗ってんな
435:ハカセ
あ、いや、なんかすんません
実はマジでそういう状況が起こってしまいまして……
436:名無しの戦闘員
ついにエレスちゃんとフィオナちゃんがハカセ取り合ってガチバトルを!?
437:名無しの戦闘員
修羅場? 修羅場った?
438:名無しの戦闘員
首領ちゃんとか猫耳ちゃんとかマジで争いそうなのがまたね
439:名無しの戦闘員
>436 エレハカ女自重
440:ハカセ
つい先日のことや
ワイは散歩がてら郊外のレジャーホテルを見物に行った
なんでもバブル時代とかいう頃に建てられたけど人気がなくて放置されたんやと
そら丁度いいってことで怪人と魔霊兵を置いて実効支配することにした
441:名無しの戦闘員
散歩がてらに侵略すんのやめてもらえる?
442:名無しの戦闘員
廃園になった遊園地とかもその気軽さで奪われたんだろうか
443:ハカセ
そしたらな?
Lリアちゃんが建物のオーナーのSNSを見つけて報告してくれたんや
『これは助かった。処分に困っていたホテルをデルンケムが奪ってくれた。ハルヴィエドには感謝しかない』
……おかしない?
444:名無しの戦闘員
あー、売ることもできずただ税金払い続けてただけの建物を事実上放棄出来たのか
さすがに悪の組織に占拠されたら所有権も認められないだろうし
……この場合ハカセが固定資産税払うのか?
445:名無しの戦闘員
実効支配だと聞こえは悪いけど実質廃墟の再生だからなぁ
446:ハカセ
なんか侵略感がなくてイマイチ不完全燃焼……
>444 ぜいきん? ワイ異次元人やからなんのことか分からんわー(棒
447:名無しの戦闘員
まさに悪
448:名無しの戦闘員
なんだ侵略感てw
449:名無しの戦闘員
会社立ち上げてる時点でその言い訳は通用せんわw
450:ハカセ
まあ、とりあえず新しい建物を得た
仕事が思ったより早く片付いたんでどうしようかなーってところでアニキから連絡が
『ちょっと付き合わないか、ゴリマッチョも呼んである』
久々に男だけでどうだ、みたいなお誘いやった
451:名無しの戦闘員
┌(┌ ^o^)┐「付き合わないか?」
452:名無しの戦闘員
やべえのきたぞ⁉
453:名無しの戦闘員
ここはそういう場所じゃねえから!
454:名無しの戦闘員
むしろハカセハーレムだ!
腐海に帰れ!
455:名無しの戦闘員
┌(^o^ ┐)┐「サヨナラ……」
456:名無しの戦闘員
ふぅ…被害が出る前に去ったか……
457:名無しの戦闘員
なんだこの茶番w
458:ハカセ
そもそもワイのハーレムじゃないんですがねぇ……
ともかく、時間はまだ三時
ワイ・アニキ・ゴリマッチョの三人でスーパー銭湯に行くことになった
折角ホテルを手に入れたし浴場のリサーチがてら昼風呂で疲れを癒そうって寸法や
459:名無しの戦闘員
いいなぁ 近所にないんだよねスーパー銭湯
460:名無しの戦闘員
俺も行ったことねえや
461:名無しの戦闘員
ここ五年くらい家を出たことない
462:名無しの戦闘員
働けニート
463:ハカセ
三人で露天風呂にちゃぽーん
アニキ「ふぅ、気持ちいい……」
ゴリ「偶にゃぁこういうのも悪くねえなぁ」
ワイ「まったくや。疲れた体に染みるわぁ」
ワイも初めてやったんやけどええもんやなぁ
ちなみに露天風呂はワイらの貸し切り状態や
なんでって?
ゴリマッチョは202センチのガチムチで全身傷だらけやからね
だーれも近寄ってこん
464:名無しの戦闘員
マジモンの戦場で生きてきた男だもんな
465:名無しの戦闘員
それ言ったらハカセもアニキもそうだろ?
466:ハカセ
ワイもかなり鍛えとるけど流石にアニキたちには敵わん
ちなみにアニキは187センチ、実戦で鍛えたしなやかな戦う筋肉なお人
ワイは188センチの細マッチョ
調子乗った大学生みたいな奴らが集団でやってきたけど
ワイら見た瞬間顔引きつらせて帰ってくレベルのスリーマッチョや
467:名無しの戦闘員
大学生くん達かわいそう……
468:名無しの戦闘員
地味にアニキの方が小さいのか
469:名無しの戦闘員
ワイルド系の男前でカラダの方も筋肉質なアニキマジアニキ
470:名無しの戦闘員
組織最強の男は伊達じゃないな
471:ハカセ
アニキ「岩盤浴って本当に気持ちいいんだろうか」
ワイ「どうなんでしょう? 砂風呂とかも妙な感じしますよね」
ゴリ「ハカセ、次はジャングル風呂行こうぜ。ゴリラの血が故郷を求めてる」
ワイ「それ自分で言っちゃうの?」
和やかな入浴タイム
せくしーや猫耳にゃ悪いが男同士ってのも楽しいもんや
ちなみにゴリラは何故か異次元でもゴリラ・ゴリラ・ゴリラです
472:名無しの戦闘員
ゴリラってすげぇんだな
473:ハカセ
そんな感じで色んなお風呂を堪能する
まあ今回は夕食前に解散なんで酒もナシや
幹部唯一の既婚者ゴリマッチョを毎回連れまわす訳にもいかんしな
ゴリ「アニキ様は、せくしーやA子とはまだなんですかね?」
アニキ「いや、うん。なんで二人とも娶る前提なんだろう」
ワイ「しゃーない」
ゴリマッチョ的には未だに結婚していないのが不思議な模様
アニキたじたじ、ワイわくわく
笑ってそれを眺めてたワイやけど、
アニキ「それを言うならハカセだってそうだろう?」
なんとアニキが切り返してきた
474:名無しの戦闘員
おっと、アニキの反撃
475:名無しの戦闘員
そりゃフィオナちゃんとのデートでもアニキの店使ってるんだもん、そうなるて
476:ハカセ
しかもゴリマッチョが食いついてきた
ゴリ「おー、そりゃそうだ! ハカセもいい加減伴侶を得なきゃな」
アニキ「だろう? 似合いの相手もいるんだ、そろそろ覚悟を決めるべきだな」
あれれー? アニキにだけは絶対言われたくないセリフだー
ゴリ「さすがアニキ様、分かってらっしゃる!」
アニキ「まあ大事な弟分だ。将来をちゃんと考えてほしいとは思うさ」
ゴリ「まったくです。そう……」
そうして二人は同時に、ものっそい笑顔で言う
477:ハカセ
アニキ「フィオナちゃんと猫耳、とのことをな」
ゴリ「首領とのことをな!」
二人してなに言ってんの?
478:名無しの戦闘員
ゴリマッチョまさかのハカのじゃ派w
479:名無しの戦闘員
ちゃんとハカセの内心察してるのな
ついでに猫耳ちゃん推してくるあたりアニキィ!
480:名無しの戦闘員
義妹嫁! 義妹嫁!
481:名無しの戦闘員
このスレだと首領ちゃんは女の子派が主流
ゴリマッチョも( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ
482:ハカセ
ん? と首を傾げて目を合わせるゴリニキ
ゴリ「待ってください、アニキ様。何を言ってるんで?」
アニキ「いや、そっちこそ何を言ってる?」
ゴリ「だからハカセの将来の伴侶の話ですよね? つまり首領の話ですよね?」
なんで?
ゴリ「ほら、首領にも支えてくれる人が必要だと思いません? ハカセは適任だと思うんですがね」
アニキ「それはハカセの意向を無視している。猫耳とフィオナちゃん、最低二人は嫁になるべきだ」
いえ、アニキもだいぶ無視していますが?
483:名無しの戦闘員
これは確かにワイのために争わないでだわw
484:名無しの戦闘員
頑張れアニキィ!
485:名無しの戦闘員
アニキッキィ!
486:名無しの戦闘員
かなり変則的だけど修羅場っちゃ修羅場だなw
487:ハカセ
ゴリ「猫耳くのいちはともかくフィオナって誰ですか? 悪いが、そんなぽっと出の女にハカセはやれねえですよ」
ゴリマッチョはどの立ち位置から話してんの?
アニキ「フィオナちゃんはハカセの想い人だ。まだ友達みたいだが」
ゴリ「なんてこった。お前、浮気したのか…首領以外のやつと……!?」
アニキ「浮気て。こいつが首領に甘いのは事実だけど」
ゴリ「流石に冗談っす。悪いハカセ、ちょっと悪ノリが過ぎた」
謝るところってもっと他にあると思う
488:ハカセ
ゴリ「お前に好きなヤツが出来たってんなら、めでたい。ですがアニキ様、ご家族が可愛くないので?」
アニキ「勿論首領が可愛くはある。だが、ハカセだって俺の弟分だ。こいつの初恋を捻じ曲げてまで、というのはな」
あれ、フィオナたんがワイの初恋だってバレてるの?
アニキ「だからゴリマッチョ、そこは素直に応援してやってほしい」
ゴリ「いやいや、捻じ曲げませんて!? ただ結婚してから育む愛だってあるはずです! 年齢がネックなだけで、ハカセが首領を好きなのは間違いないですし!」
アニキ「……つまり?」
ゴリ「夫婦自由婚姻制度ってこういう時のために在ると思うんです」
アニキ「……なるほど!」
ごめん、ゴリマッチョの中のワイの将来ってどうなってるの?
アニキもなるほどやないです
489:名無しの戦闘員
ツッコミどころが多すぎるw
490:名無しの戦闘員
ゴリマッチョけっこうハカセのこと好きだな
491:ハカセ
ゴリ「なんで、俺的にはこうなる訳です。まあ、ハカセの好みも考慮しますが、付き合いの長さ的にはこうなるんじゃねぇかと」
【第一夫人】首領 【第二夫人】猫耳くのいち 【第三夫人】フィオナ
アニキ「なるほど、では俺はこうだ。二人は両想いだしな」
【第一夫人】フィオナ 【第二夫人】首領 【第三夫人】猫耳くのいち
な ん で ド ラ フ ト 形 式?
いやドラフトと違ってクジとかじゃなく三人目まで娶れってことやろうけど
アニキもゴリマッチョも一夫一妻派ですよね?
492:名無しの戦闘員
結局アニキも首領ちゃん推しw
493:名無しの戦闘員
意外とノリいいぞこいつら
494:名無しの戦闘員
飲み会の時点でそれはそう
495:ハカセ
ゴリ「お? なんだ、アニキ様も分かってるじゃないすか!」
アニキ「まあハカセは首領のカラダをメンテナンスしてるらしいからな」
ゴリ「なんだと⁉ おいおい、そこまで進んでんのかハカセ!」
アニキ「首領の方も手放さないとは言っていたぞ」
めっちゃ嬉しそうゴリマッチョ
めっちゃニヤニヤアニキ
あ、これいつもの仕返しにワイをからかいにきとるだけや
496:名無しの戦闘員
A子ちゃんとせくしーさんのことで弄られとるからな
497:名無しの戦闘員
アニキも前の緊急生放送みたんか
498:名無しの戦闘員
今更だけど字面最悪だなw
499:ハカセ
そんな感じでワイ弄りは風呂を出るまで続いた……
ゴリマッチョはわりと本気だったけど、アニキの方は冗談みたいなもんや
お詫びとして今度アニキの手作りケーキをもらうことになったわ
ゴリマッチョ「アリだと思うんだがなぁ、首領と」
なんだかんだ、アニキもゴリマッチョも個人としては首領のこと好きなんやで
どっかで和解の機会を設けられたらええな
500:名無しの戦闘員
ゴリマッチョの場合組織としてのトップはアニキの方が良かったんだろうな
501:名無しの戦闘員
アニキが首領になって統括幹部ハカセと首領ちゃんが結婚
みたいな形がゴリマッチョの理想なんかも
502:名無しの戦闘員
今さらだが、幹部の強権発動でアニキを首領にした方が良かったのかも
古参に気を遣ったせいでこの現状じゃ先代も報われん
503:ハカセ
アニキも首領が継ぐのに賛成した、ってのがデカかったわ
あのお人も先代に拘っとるのには変わらん
さて、これが先日の「やめて! ワイのために争わないで!」事件のあらましや
なっかなかのレベルで弄られまくった訳やけど…………せくしー!
504:名無しの戦闘員
??
505:せくしー
はい、こちらに
506:名無しの戦闘員
ほんまにおったw
507:ハカセ
ワイ、アニキに複数の妻を娶れ的なことを言われたわ
全力でお願いします
508:せくしー
お任せあれ
弟分に勧めたのであれば、ご自身も覚悟を決めたということですからね
「ハカセさんの為にも、アニキさんが手本を見せるべきですよ~?」
……いけます!
509:名無しの戦闘員
まさかの結託w
510:名無しの戦闘員
ケーキ作るのに許されてねぇw
511:名無しの戦闘員
せくしーちゃんがんがれ!
512:ハカセ
許してないわけやないで?
ただ、ワイもアニキの将来を憂えているだけです(棒
なおゴリマッチョは風呂上がりのフルーツ牛乳で手打ちにしておいた
嫁さんやお子さんたちを不安にさせるのもあれやし
513:名無しの戦闘員
既婚者に「お宅の旦那さん一夫多妻肯定派だってw」は致命的やからな
514:名無しの戦闘員
偉いぞハカセ
515:ハカセ
でや、ワイ争事件は銭湯を離れ一先ずの終焉を迎えたはずやった
しかし……その傷痕は深く刻み込まれていた
516:名無しの戦闘員
なんか不穏な煽り
517:名無しの戦闘員
ワイ知っとる こういう時のハカセの話はだいたいアホなオチや
518:ハカセ
基地に戻ってしばらく、ワイはI奈ちゃんに声をかけられた
アクセ型魔道具とかLリアちゃんを補佐役にした辺りからかな
I奈ちゃんが普通に接してくるようになった
冷たいって印象が拭えたんかもな
I奈「ハカセ様ハカセ様、私はぁ、こうだと思いまーす♡」
【第一夫人】Lリアちゃん 【第二夫人】猫耳くのいち様 【第三夫人】首領様
I奈「えへへ。Lリアちゃんってぇ、まだ自覚してないけどハカセ様ラブ勢だと思うんですよぉ。前に“ハカセ様の声は何となく落ち着きます”って言ってたし! どうです、これ♡」
どうですってどうゆうこと?
そう、なんでか知らんけど戦闘員の間ではワイの結婚相手を三番目まで決める「ハルヴィエド・ドラフト」が流行っとった
519:名無しの戦闘員
ハルヴィエド・ドラフトwww
520:名無しの戦闘員
おまえ普通に玩具になってんじゃんw
521:名無しの戦闘員
陰でやるならともかく本人に伝えに行くI奈ちゃん心臓強えw
522:ハカセ
偉ぶるつもりはないけどワイ一応君の上司やで?
注意くらいはせな、って思ったけど先に隣のM男が動いた
M男「こら、I奈ちゃん駄目だよ」
I奈「えー、でもぉ」
M男「ちゃんとハカセ様の気持ちも考えないと」
【第一夫人】ルルンちゃん 【第二夫人】首領様 【第三夫人】エレスちゃん
M男「……ですよね? ロスフェアの姿は偵察映像で確認しました」
お前ワイの気持ちやなくて完全に年齢で選んどるやないか
523:名無しの戦闘員
M男はロリコンを隠す気ねーな
524:名無しの戦闘員
ハカセを完全に同類として見とるw
525:ハカセ
なんで…なんでこんなことに……
壁┃ω・`)チラリッ…「にゃ」
526:名無しの戦闘員
自分で答え言ってんぞw
527:名無しの戦闘員
猫耳ちゃんまさか男湯を覗き見……?
528:ハカセ
いや、「前にこんなことあってよー」みたいな感じでゴリマッチョに聞いただけっぽい
幹部連中基本仲良しやからな
で、最近Lリアちゃんと仲ええし、ぽろっと零しちゃったみたい
幹部の協力技によっていつの間にやらワイが窮地に
あいつらなにしてくれてんの?
529:名無しの戦闘員
結局デルンケムの幹部って皆アホの子なんやなw
◆
戦闘員たちの騒ぎから逃れ、ハルヴィエドは私室でお茶をしていた。
お茶請けはお詫びでもらったゼロスの手作りケーキ。せっかくだからヴィラ首領やミーニャも呼んで、寛いだ時間を過ごしている。
「しかし戦闘員たちは定期的に騒がしくなるのう……」
ヴィラはケーキを食べながらそんなことを呟く。
騒ぎの詳しい内容は伝えていない。
ハルヴィエドの結婚相手としてヴィラ首領が候補に挙がっています、なんて話シラフで言えるものではなかった。
「まあ次第に落ち着くでしょう」
「にゃ」
「そうじゃな。しかし、このケーキは美味いのう!」
「それは何よりです」
貴方の義兄の手作りですよ、とはまだ言えない。
きっとこの満面の笑みが曇ってしまう。
「クリームが完全に私の好みに一致した味……ちょっとこれ凄くない? なのじゃ」
その理由は分かり切っている。
つまりゼロス様も、そういうことなのだろう。
「さて、茶飲み話には相応しくないが、ハルヴィエドよ」
「どうかされましたか?」
「うむ。近々、時間を空けてもらえぬか?」
そう言ったヴィラベリートは、少しだけ大人びた微笑みを見せた。
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