第22話:遭遇
扉を開けると今までの部屋と同じような部屋だった。
唯一の違いは今までの一本道と違い、向かい側と右の壁に扉がある事ぐらいだった。
そして俺達に向かい合うように4人の人影があった。
俺は彼らの事をまず観察する。
(やはりプレイヤーとガチャキャラ3人か。)
一人目は俺と同じ中二病ファッションなのですぐにプレイヤーだとわかった。
黒髪オールバックで目つきが悪く、中肉中背で俺と同じぐらいの身長だ。
二人目は身長190ぐらいある全身鎧の奴でひときわ目立つ存在だ。
顔はフルフェイスで男か女かもわからないが、背負っている大剣を振り回すとしたらとんでもないパワーの持ち主だろう。
三人目は全身をフード付きマントで隠しており、かなり小柄で、顔に笑い顔の仮面をつけている不気味な奴だ。
杖を持っているのでおそらく魔術師だろう。
四人目は一歩後ろに下がって他の連中の陰に隠れている小柄な奴だ。
こいつもフード付きマントで全身を隠しているが、仮面はつけていない。
そのため顔が見えているのだが、前髪で目が隠れていて表情は見えない。
特徴的な青い髪をしている。
(スマホで鑑定すれば詳細情報がわかるかもしれないが、それをすると相手の敵意を煽ることになる。俺達を待っていたという事は何か意図があるはず?いったん様子を見よう。)
俺達はいざという時に退避できるよう、扉の近くから動かず相手の様子をうかがう。
彼らも向かい側の扉付近から動かずこちらの様子をうかがっているようだ。
(このまま無為に時間を消費するとはよくないな。こちらから話しかけてみるか?)
どう声をかけるか考えていると、相手のプレイヤーが何歩か前に出て俺に対して話しかけてきた。
「僕の名前はターレスと言います。実はあなた達とお話をしたくて待っていました。」
彼はそう言うと深々と頭を下げた。
「俺の名前はサイファだ。」
本来ゲーム名ではなく本名を名乗るべきだろうが、彼の名前もおそらくはゲーム名なのでそれに合わせて名乗った。
「なるほどサイファさんと言うのですね。」
「ああ。」
すると彼は間をおき、何かを決心した顔をして俺に対して提案をしてきた。
「単刀直入なのですが、僕と組みませんか?」
「?!」
俺は考えてもいなかった提案に驚きを隠せなかった。
「組むとはどういう事だ?」
「これから強力して魔物を倒しながら下層におり、目的である悪魔を倒すんです。」
「・・・それだと悪魔を倒した後の賞金とかはどうする?」
「もちろん山分けです。とどめはあなたが倒してお金を貰い、現実世界に戻ってから後で分け前を僕が貰う。それなら問題ないでしょ?」
「そうだな・・・どうするか・・・。」
俺は彼の言葉に悩んでいるように見せたが、提案に乗る気はまるでなかった。
なぜなら彼の考えがわからないからだ。
まだ日付も進んでおらず、探索も進んでいないのにもう組んで賞金100万の半分で妥協する姿勢が信じられないからだ。
これが1000万の半分の500万ならまだわかるが・・・それに初対面の俺に有利すぎる条件を提示してくるのも怪しすぎる。
今の時点で共闘の提案は何か企んでいるとしか思えない。
とはいえ彼が何を企んでいるかわかるほど俺は頭が良くないので、それを利用する提案も思いつかない。
「すまないが共闘はできない。提案はうれしいが、まだ自分たちだけで頑張ってみるよ。」
「そ・・そうですか・・・残念です。」
彼は肩を落とし顔を下げて、仲間のいる方向に力なく歩いていった。
その様子に少し悪い気になって声を掛ける。
「すまないな。他の人を誘ったら上手くいくから、落ち込むなよ。」
彼は仲間のところまで戻ると、顔を上げこちらに振り返った。
「いえいえ、予想通りですから問題ないですよ。」
その時、彼は目を細め口角を上げて不気味に微笑んだ。
「それはどういうことだ?・・うっ!」
彼の言動の意味がわからず質問すると、左ももに痛みが走り俺は思わず膝をついた。
(なんだこの痛みは!)
訳もわからず、自分の左ももを見るとなぜか傷があり、そこから血が流れていた。
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