第11話:仲間達との交流
12時になり腹も減ってきたので、俺は3人を連れて食堂に来ていた。
ここで俺は腹を満たす以外に重要な事をしなければいけない。
それは仲間達のアイテムや能力、そして性格などの把握だ。
つまりは仲間とのコミュニケーションという事だ。
(しかし彼女達はNPC、おそらく今までネットで蓄積された答えから、近い言葉を返すだけだろう。とはいえある程度パターンを把握しておく必要がある。)
食堂も他の部屋と同じぐらいの広さで、真ん中に長机が二つくっつけて置かれており、その周辺に丸椅子が6個並べられている。
扉の反対側の壁にはA、B、Cの張り紙とボタンが均等にあり、その下には四角い穴が開いている。
おそらくは3種類のメニューがあり、アルファベットの近くにあるボタンを押せば下の穴から食べ物が出てくるという作りなのだろう。
「俺は腹が減ったので飯を食うが、君達も食べるかい?」
(まあNPCが飯を食うのかわからんが、それが確認できそうだな。)
すると目を閉じたままのミコが口を開いた。
「私達は、勇者様の下僕にすぎません。同じ場所で食べるなど許されぬことです。」
(なんとも極端な子だな、まあそういうふうに作られているんだろうが・・・。)
「君達は下僕ではなく、これから一緒に戦う仲間だ。あまり壁を作るといざという時冷静な判断が出来ないかもしれない。それで邪悪を倒せず死んでしまっては神より与えられ使命が果たせなくなってしまう。」
(我ながらくさいセリフだ・・・恥ずかしい。)
「す・・すばらしい!感服いたしました!さすが勇者様です!」
「・・・。」
(ミコちゃんちょろすぎる。大丈夫?変な宗教に騙されてない?)
「では一緒にご飯食べて親交を深めよう。」
「そうですね信仰を深めましょう。」
とりあえず、俺はAのボタンを押すと下の穴から金属の四角い箱が出てきた。
蓋を開けてみると、調理された米、魚などが入っていた。
(これは弁当か。せっかくゲームなんだからもっと豪勢なものがほしかった・・・冷えてるし。)
他の仲間はA、B、Cと別のものを選んでおり、ミコはA:魚中心、ナナコはB:肉中心、ココノはC:野菜中心の料理で、すべて弁当だった。
そして俺が座ると、両横にナナミとミコが素早く座り、ココノがゆっくりと斜め前に座る。
しかし彼女らは食べもせず俺を見ていた。
(勇者の俺が食べない限り、食べれないか・・・。)
俺は彼女達に見せるように食べ始めると、みな一斉に食べ始める。
ただ、みんな俺の顔をチラチラ見て様子をうかがっている。
俺が話し出すのを待っているのだ。
俺は意を決して全員に向けて話しかけた。
「まず・・・俺たちの目的について説明したい。」
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