第9話:二人目の仲間
召喚ガチャも後5回になってしまった。
最低でも後2人引かないといけないので確率的にかなり厳しい。
しかも戦士が被ると困る。
(もうレア度を気にしている場合じゃないな。こうなったら・・・)
「こいこいこいこいキャラよこーい!」
俺は都市伝説でガチャの内容がよくなると言われている、謎のダンスをしながら召喚ボタンをクリックする。
俺はそんなオカルト信じてはいないが、やるだけなら損はない。
もちろん俺の尊厳はなくなってしまうが・・・と思っていたが、ナナミもそれを見てキャッキャしながら真似て踊っている。
すると今までの通り画面が光って、
「神の名の下に邪悪な者どもを滅します!」
という文字と可愛いが強い声とともに☆とキャライラストが表示される。
(これはキャラのうえ、☆2!)
キャライラストは金髪で目を閉じた白い神官服に身を包んだ女の子だった。
(☆2でしかも絶対必要な清楚な回復役!)
急いで能力を確認してみる。
☆☆
ミコ ノーム 女 基本レベル3
HP:47 MP:102
力:12 知力:14 信仰心:17 体力:12 素早さ:14
戦士:2 神官:3 賢者:3
(基本レベルが低いが職業レベルは多彩だな。戦える神官というところか・・・。ノームって人間とどう違うんだろう?ナナミがイラストとは結構違う姿だったことを考えるとクリーチャーみたいだったらどうしよう・・・。)
今まで召喚したと同じように暗闇になり、明るくなった時には魔方陣に人影があった。
そこに出現していたのは、身長150cmで金髪ショートカットの白い神官服に身を包んだ女の子だった。
イラストと同じように目を閉じている。
「おお!そのままだ!」
また興奮のあまり叫んでしまった。
すると彼女は目を閉じたままこちらにまっすぐ歩いてきた。
歩く姿だけでわかるが、スキがなく鍛えられた動きなのがわかる。
よく見ると耳が少し長めで尖っているが、これがノームと人間との違いなのだろうか?
近くまで来ると、美麗な動きで俺に対して膝を付き頭を下げる。
「勇者様、私はミコと申します。邪悪を滅するために召喚に応じました。これからよろしくお願いいたします。」
「頭を上げてくれ。これからは一緒に戦う仲間だからそこまで畏まらなくていいよ。」
すると彼女は頭を上げ、目を開いていき・・・まっすぐ俺の目を見つめてきた。
その瞳は青く澄んでいて、見ていると吸い込まれそうだ。
「君は目を閉じていたが、目が見えないわけじゃないんだね?」
「この世界は、すべて魔力が宿っています。その魔力の流れをより感じるために常時目を閉じる修業をしております。それにより、あらゆる者の位置や動きを目で見るより理解出来ると思っております。」
「という事はもう目を開く必要はないということか?」
「不要です。ただ、邪悪な者どもを滅殺するために神に遣わされた勇者様の姿を一目見ておきたいと思いまして。」
彼女は目をさらに大きく開き俺の姿を舐めるように見ている。
(この子の目は澄んでいるんじゃなくて、飛んでいるんだ・・・。あまり刺激はしない方がいいな。)
「俺一人では邪悪を倒せない。ミコ、君の力が必要だ。助けてくれるかい?」
「ありがたきお言葉です!私はあなたのためにはなんでもしますから!」
「ん、なんでも?」
彼女は立ち上がり俺の腕を強く握ってきた。
そして体を密着させてくる。
(このゲームのテンプレなんだろうが、やたらとスキンシップしてくるな。男性を喜ばすための設定か?ちょっと露骨すぎるから、控えるように開発者達に伝えよう。)
とはいえ気持ちいい柔らかい手の感触を味わっていると、すさまじい力で引きはがされた。
「は~い。ミコちゃん離れようね~。抜け駆けはだめだよ~。」
ナナミだった。
「・・・たしかに勇者様には失礼な行動でした。お許しください。」
「いや、いい。これからはみんな仲間だから、俺とも彼女・・・ナナミとも仲良くしてほしい。」
「了承いたしました。」
(これでなんとか2人目ゲット!あと4回でもう一人引けるかな?)
まだまだ予断を許さない状況に俺のガチャ運が試されようとしていた。
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