第8話:ナナミ
筋肉バキバキ女戦士ナナミが仲間になった。
頼りになりそうだが、もう少しか弱い女の子でもよかった・・・。
しかも、やたらくっついてくる。
普通ならラッキースケベなどありそうだが、やはり鍛えられた肉体は硬い・・・。
「ナナミ君、あまりくっつかないでくれ・・・。」
「ナナミでいいよ~。仲良くなるためにはスキンシップが重要だと思ったの~。」
そう言って潤んだ目で見つめてくる。
よく見ると目が大きく、可愛らしい顔をしている。
実はかなり若いのかもしれない。
しかし、それゆえ酷くアンバランスで顔と肉体が別の生物に見える。
「ナナミ、ちなみになんで俺が勇者なんだ?」
「サイファ様は異世界から来たんでしょ?そういう人は勇者って聞いてるよ~。」
「異世界?なぜそんな事を知っている?聞いたって誰に聞いたんだ?」
「え~と・・・だって手に謎の文字が出る四角い魔道具もってるし~。そういう人は異世界から来た勇者様って・・・そう決まっているから~。」
「謎の文字って・・・これ読めないのか?」
スマホを見せながら確認するが、
「これ文字なの?わからないよ~。」
たしかに彼女が話している言語はこのゲーム特有のものだ。
(俺がゲームの言語を理解できるから、NPCも日本語理解できると思ったらそうじゃなかったのか。)
よく考えたら、彼女はこのゲームのNPCにしかすぎない。
設定にない事は理解できなくて当然だし、設定の通りにしか答えることはできない。
現実味が強いのでついゲームという事を忘れていた。
「では君の装備に関して聞きたいのだが、その装備だと軽装すぎやしないか?」
「私は~回避タイプの戦士だから、出来るだけ何もつけたくないんです~。」
「それなら胸のアーマーは金属製なのはなんでだ?」
「これは胸が動かないように固定するためなんですよ~。胸とお尻だけは柔らかいので~。それに軽装でも私はとっておきがあるので大丈夫です~。」
(たしかに体に比例して胸もお尻も大きいな。筋肉バキバキだが柔らかい箇所はかわらないんだ・・・しかしとっておきとは?)
「とっておきはその時がきたら披露しますよ~。」
「ああ、そうかい。」
とっておきは気にはなったが、間延びした話し方に付き合うのが面倒になってきたのでこれくらいで切り上げることにした。
続けて召喚ボタンをクリックしてガチャを引いていく。
4回引いたが、同じ演出がされて召喚されてきたのはすべて武器だった。
引けたのは
☆ 魔力の指輪×2
☆☆ ショートソード+2
☆☆☆ 魔力の剣
もちろん性能は全くわからない。
(そういえば、鑑定アプリがあったな。)
鑑定アプリを起動して、カメラで武器を撮影すると説明が表示されるようだ。
☆:魔力の指輪:魔力を注ぐことで魔力をストックしておくことが出来る。
☆☆:ショートソード+2:刃渡り30cmの片刃の剣で切れ味は鋭い。特殊な効果はない。
☆☆☆:魔力の剣:刃の代わりに5×10×30cmの魔法板が取付けてある。魔力を消費することで魔力の刃で攻撃できる。
攻撃力などの数値は出てこないが、使用方法がわかるのでこれは便利だ。
ためしにショートソード+2を振ってみて感触を確かめてみる。
以外に重量があったが戦士レベル2があるせいかスムーズに剣が振れる。
(なぜか剣で戦っていたような感覚がある。この体にインプットされてるのかも?そうだとすると凄いゲームだな。)
「勇者様、私も剣欲しい~!」
(そういえばナナミは戦士レベル4だったな。俺よりも優先的にいい武器を与えるべきだろう。)
2本の剣を与えて、その場で振らせてみると、まるで手足のように扱って見せた。
驚くことに魔力の剣も当然のように魔力の刃を出現させて振り回している。
「魔力の剣も使えるのか?」
「よく知ってるよ~。でも魔力を消費し続けるからずっとは使えないね~。」
(魔力を消費?つまりMPを消費し続けるってことか?そういえばステータス確認アプリがあったな。)
アプリを確認してみるとナナミが追加されており、確認可能になっていた。
たしかにMPが満タン時より減っている。
(一本は俺がもらおうと思っていたけど、魔力の剣を常時使うのが大変ならどちらも渡したほうがいいかもな。あきらかに戦士としての実力はナナミのほうが上だ。それにここまでリアルな世界で剣で相手を殺傷したら血みどろになるかも・・・それは嫌だなあ。)
「ナナミ、どちらも使っていいよ。君の方が使うにふさわしい。」
「ありがと~勇者様~。」
筋肉バキバキでもはしゃぐ姿は子供っぽく可愛らしい。
(ただ、無邪気に振り回しているのは殺しの道具だけどね・・・。)
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