第7話:初めての召喚(ガチャ)
召喚魔方陣の部屋は20m四方の薄暗い部屋だった。
真ん中にある魔方陣は直径15mの円で、内側には五芒星、外周には見たことのない文字の羅列が並んでおり、青白く光っている。
確認のため魔方陣内に入って触ってみると魔方陣部分もツルツルしており、描いているというよりは床の一部といった感触だ。
(魔方陣から何か出てくる雰囲気はないが、とりあえず試してみるか。)
とりあえず魔方陣から出て召喚アプリをクリックしてみると、ゲームのガチャらしいカラフルな画面が表示された。
画面には、
「今ならピックアップで☆3のエルフの魔導士が高確率でゲットできます!」
「魔術士はもちろん狩人、賢者職も取得済。幅広い活躍ができます!」
という文言と金髪碧眼で豪華な白い衣装に身を包んだ女性エルフのディフォルメされたイラストが載っていた。
他にどんなキャラがいるか確認してみると、人間やエルフなどの亜人が主で、全員女性キャラだった。
(全員女性で、モンスター系などはいないようだ。ゲームは基本男性プレイヤーが多いとはいえ偏りすぎている。これで世界で売れるんだろうか?)
次はキャラの性能を確認してみるが、文言だけで細かな数値は記載されていない。
まだわかることは☆1~3では取得している職業数が違うという事だけだった。
ちなみに武器のガチャも同一ガチャなので記載はしているが、☆3でも「魔力の剣」という地味な名称でイラストもなければ性能説明もない。
☆2や1になるともっと酷く、「ショートソード+1」などの+武器ばかりで、面白みのない名称ばかりだ。
これでは俺の身に着けている「死神の黒衣」や「破滅の腕輪」の名称がましに思えてくる。
とりあえず召喚してみることにした。
画面には召喚残り回数10の記載があるが、10連ではなく一回一回クリックして召喚するシステムらしく、これから大量に召喚できるようになったら面倒そうだ。
(まずはレアではなくていいからキャラが出てほしい!そうでないと普通に詰む!)
念を込めて召喚ボタンをクリックする。
すると画面が光って、
「私があなたの敵をすべて倒しちゃうよ!」
という文字と可愛い声とともに☆とキャライラストが表示される。
残念ながら☆1だったがキャラが出たのはありがたい。
キャライラストは赤髪ポニーテール、褐色の肌、そして赤いビキニアーマーで剣を構えてる女の子だった。
(☆1とはいえキャラが出たのは大きいな。しかしこんな装備で大丈夫か?たしかに可愛いくてエッチだが戦えんだろ・・・。)
能力を確認してみる。
☆
ナナミ 人間 女 基本レベル:4
HP:72 MP:86
力:17 知力:10 信仰心:5 体力:17 素早さ:17
戦士:4 賢者:2
(俺と比較して力、体力、素早さは高いし、戦士レベル4で強そうだ。戦士なのになんで賢者レベルがあるんだろう?・・・。)
このゲームの説明はスマホにも記載がないため、なんとなくで把握するしかない。
続けて召喚ボタンをクリックしようとすると、反応しない。
とたんに部屋が真っ暗になり、雷のような音が鳴り響く。
そして魔方陣が光りだし、その光が部屋全体に広がっていく。
眩しくて目を開けていられない。
・・・しばらくして目を開けると、魔方陣に誰か立っていた。
赤髪のポニーテール、褐色の肌、赤いビキニアーマー・・・そして大柄な体格、バキバキの筋肉・・・すさまじい威圧感を放つ存在がそこにいた。
「思ってたのと違う!もっと可愛い女の子だと思ってたのに!」
つい大声を上げてしまった。
その言葉に反応したのか素早い動きで俺の前まで近づき、上から見下ろしてきた。
(身長180cmぐらい・・・、そしてこの威圧感、動いたらやられる!)
俺は恐れで体が動かない。
だが、せめて目で牽制しようと睨みつけた。
彼女はそんな俺を見ながら、両手の甲を外側にして顎にぴったりとくっつける。
(ボクシングのピーカブースタイルだと!)
そしてゆっくりと顔を下げて目線を合わせてきた。
(やられる!)
そして信じられない一言を放つ!
「勇者様、そんなに見つめないで♡私ナナミっていうの☆これからよろしくね☆」
その声は非常に可愛いかった・・・。
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