第4話:知らない天井

目を開くと白い天井が見えた。


(たしか俺は部屋で待っていたはず・・・、なぜか寝ていた?)


酷く体がだるいし、ひどく眠い・・・。

なんとか起き上がろうとするが、体が全く動かない。

何かで頭から足まで全身固定されているようだ。

声を出そうにも口にも何かつけれられて喋ることができない。


「中野さん、被験者が目を覚ましたようです。」


(声が聞こえる。誰かが近くにいるのか?)


すると誰かが上からのぞき込んできた。

オールバックで眼鏡を掛けた気難しそうな白衣姿の中年男性だ。


「たしかに目が開いているな。効きが悪かったか?」

「どうしましょうか?追加で投与しましょうか?」

「いや、やめた方がいいな。これ以上は体への悪影響があるかも知れない。」


(この人達は誰なんだろう?何を言っているんだろう?)


どうも頭が回らない。酷く眠く、また意識が途絶えた。


◇・◇・◇


目を開くとまた白い天井が見えた。


(同じ天井?さっきと同じ所なのか?)


まだ体がだるい。だがさっきより頭がはっきりとしている。

なんとか起き上がろうとして体を動かすといとも簡単に動く。

上体を起こすと、自分がベッドに横になっていたことがわかる。


とりあえず自分の体を確認すると白いトランクス一枚だけの姿で、40代のたるんだ体ではなく、若く鍛えられた体になっていた。


(そうだ・・・たしか体感型ゲームのテストプレイをするんだっけ・・・。しかし、契約書にサインした後何があったか覚えていない・・・。)


そのまま周りを見渡すと洋風のタンスや机などの家具などがあり、まるでなんとなく思い描く貴族の部屋のようだった。


ちょうど大きな鏡が壁に立てかけてあったので、全身を確認してみる。

身長170cmぐらいでやせ型だが筋肉質、髪は黒で目は茶色、顔は白人に近い風貌だった。顔立ちは整っている方だろう。


(やはりファンタジーゲームだから、日本人ではないんだな。しかし、体に違和感がなくすごく軽いし強い!若く鍛えられた肉体とはこんな感じなのか!)


ゲームとはいえなんでもできそうな全能感があった。


まずは部屋内を歩いて色々確認してみる。

だいたい大きさは20m四方の部屋で、扉が各方向に一つづつあり、日本語ではない文字で何か書いてあった。

ただ、知らないはずの文字なのに、なぜか理解することができ読むことができた。


(トイレ、食堂、召喚魔方陣、そして迷宮か・・・。そういえばガチャで召喚して冒険するとか言ってたなあ。)


しかしトイレや食堂はゲームで必要なのかは不明だった。雰囲気作りのためなのかも知れない。


とりあえず扉の向こうを確認する前に家具の中身を確認しようとした時、どこからか「ジリリリリリー」という音が鳴った。


「・・・電話?!」


古いがもろ電話という音が大音量で鳴ったので驚いた。

ホラーゲームでいきなりなると「ビクッ」ってなるやつだ。

大きさな音なので、場所は机の引き出しの中とすぐわかった。

急いで開けるとそこにはスマホが入っていた。


(ファンタジーの世界観でスマホ?ぶち壊しだな。)


操作方法も同じなので素早くタップして出る。


「もしもし、どなたでしょうか?」

「私は田中三郎(たなかさぶろう)と申します。このゲームの説明係をやっております。以後よろしくお願いいたします。」

「それはご丁寧に。」

「ゲームについての質問をなんでも承ります。ご質問をどうぞ。」

「ん?なんでも?」


聞くべきことはいくらでもある。


「では、ガチャの排出率はどうなっていますか?」
















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