第5話:テストプレイ
「では、ガチャの排出率はどうなっていますか?」
少し間があって、
「それも含めて順に説明していきます。」
冗談だったのだが、すべったようだ。
「冗談はこれぐらいにして、まず私がゲームに来た時の記憶がないのですが、どういうことなんでしょうか?」
「覚えていないだけでは?少なくとも私は聞いていません。」
「聞いていない?それは上田さんですか?それとも・・・中野さんですか?」
「上田さんからですね。中野さんとは誰ですか?」
「おそらく・・・髪の毛をオールバックにしてメガネを掛けている気難しそうな中年男性です。」
「うん?・・・もしかしてフルネームは中野卓也(なかのたくや)ではないですか?」
「下の名前は知りません。知っているんですか?」
「・・・とりあえず時間もありませんので、ルール説明させていただきます。」
「あの・・・中野さんのことは・・・」
すると彼はこちらの言葉を聞かず一方的に話し始めた。
「まず、あなたには召喚魔方陣で仲間を召喚してもらいます。その後、あなたを含め4人パーティで迷宮の奥に潜んでいる悪魔を倒せばクリアとなり、賞金100万獲得となります。期限は1週間なので期日までにクリアできない場合はゲームオーバーとなります。もちろん死んだ場合もゲームオーバーです。」
「ちょっとまってくれ・・・」
「何か質問はありますでしょうか?もちろんゲームのルールに関しての質問しかお答えできません。ちなみに通話時間は限られているので、今のうちに必要な事を聞いていた方がいいと思いますよ。」
ゲーム以外の質問はすべて受け付けないといった感じだ。
「わかりましたよ。ゲームの質問なら問題ないですね?」
「そうです。」
「では、まず私は裸ですがこのまま迷宮に行くんですか?」
「装備なら部屋の洋服ダンスに入ってます。それで一式そろいます。それ以上のものが欲しい場合は基本ガチャで手に入れます。」
「ガチャですか?」
「そうです。召喚魔方陣で10連ガチャをしてもらいますが、30%が仲間キャラ、70%が武器防具等です。確率はレア度☆1が79%、☆2が18%、☆3が3%となっています。」
「闇鍋ガチャじゃないですか・・・しかもその確率だと10連で3人揃わずに迷宮探索の可能性があって困るじゃないですか?」
「それはなんとかして下さい。」
「追加でガチャとかできるんですか?迷宮内で仲間や装備など増えたりしたりしますか?」
「それはプレイして確認してください。」
(なんでも答えるとか言ってたのに、この人なにも答えてくれないんだが・・・)
「・・・・期限は一週間と言っていましたが、その間このゲームにずっとログインしたままなんですか?その場合現実世界の私の体は大丈夫なんですか?」
「ログインしたままで問題ありません。現実の体はあらゆる手段で栄養補給をしておりますので健康状態が悪くなることはありません。」
「ちなみに雇用期間は二週間となっていましたが?」
「後の一週間でテストプレイの感想や意見などをまとめてもらいます。」
(他に聞くことは、なにかあるだろうか?)
「もう時間切れですので質問は終わりにさせていただきます。最後に伝えておきますが、召喚、ステータス確認、鑑定などはすべてスマホで操作しますので確認よろしくお願いいたします。ではご武運を祈っております。」
「まだ聞きたいことが・・・」
しかし電話は一方的に切られてしまい、「ツーツー」という空しい電子音だけが残るだけだった。
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