エピローグ
「このまま、朝まで一緒に寝よう?」
幼馴染がベッドで提案する。もちろん私に
友人同士だった私達は、恋人同士となった。私は
きっと私は立ち直る。そして小説で、身近な人々を愛する主人公の姿を書く。その情景を通して、愛の
「ねぇ、長編の主人公は、どんなキャラクターなの?」
幼馴染が
「たぶん暴力的な男子になる。その男子が愛を知って、善人になる事を
小説の中では、悪も悲劇も書かれるだろう。それらは結局、光を
「ドストエフスキーに付いては、私は分からないしさ。実際に何を書きたかったのかも知らないけど……
「そう言ってもらえると嬉しいな」
苦笑するしか無かった。私に対する彼女の評価は
「信じてなさそうだけど、本当よ? 愛と、善への志向でしょ? それは昔の文学者を持ち出さなくても、貴女が自信を持って書いて良いものよ。ドストエフスキー以外を扱った長編を書いてもいいと思うな」
幼馴染は私に、政治性が強い小説を書かせたくないようだ。ただ、何を書くにしても、その問題から完全に
表現の自由を守るためには、声を上げ続けるしか無いのだ。私に取って、猫は自由の象徴である。私のようなアマチュア
私達は
「また、何か難しい事を考えてるんでしょ? 駄目よ、ちゃんと私を見て」
今や恋人となった幼馴染が、
私達がベッドで仲良くしていると、
「きっと、お盆だから猫が帰ってきたんだよ」
あっさりと幼馴染が言った。あまりにも自然に言われたので、そうかも知れないと私も思った。今は深夜で、日付は八月十五日となっている。終戦記念日だ。
歴史上に名前を
「にゃあにゃあにゃあ」
これは猫の声、ではない。幼馴染のものだった。
「どうしたの、急に」
「何だか
「じゃあ、私も、貴女の猫になる」
私は笑って、笑いすぎたからか少し、涙が出た。「にゃあにゃあにゃあ」と
私達は無名の猫だ。世を去った命を
お盆に帰ってきた猫ちゃん 転生新語 @tenseishingo
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