これから私が書きたいもの
「だから書くとしたら、リアルタイムの現代じゃなくて、何年か前の時代を舞台にするわ。
幼馴染に笑ってみせる。
「ねぇ……テーマを変える訳には、いかないの?」
ベッドに置いていた、私の手を幼馴染が
「もっと
握る手に
「まだ、書くと決まった訳じゃないから……」
そう言って、私は彼女をなだめる。ある程度、落ち着かせてから、「ただ……」と私は言葉を続けた。
「文学を悪用されたくないのよ、私。今はドストエフスキーが、独裁者の手で
それがドストエフスキーに付いての、私の解釈だった。私に言わせれば、それ以外は全て
「……私は
「私が死んだら、あの猫に会えるかな」
私は彼女を引き寄せるように手を伸ばす。幼馴染は、泣き顔をぶんぶんと横に振った。
「こんな形で……こんな、傷つけるような形で貴女と、したくなかった!」
そう叫ぶように言う、彼女の涙が私に落ちてくる。視界がぼやけて、気が付けば私も一緒に泣いていた。私が猫を亡くして苦しんでいたように、幼馴染も私を見て心を痛めていたのだ。私達は二人とも、悲しんでいた。今の私達には、お互いが必要なのだと知った。
「ごめんね……それに付いては本当に、ごめん」
病人の弱みに付け込ませるような行為を幼馴染にさせてしまう。その事が心苦しかったけれど、止めてほしくなかった。私の体の上に
「傷ついてもいいの。貴女に、してほしい。喜びも悲しみも、私に
私は猫の死を乗り越えたかった。新しい感情を心に
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